88歳 現役医師 帯津良一さんの食養生。「好きなものを少しだけ食べるのがいい」

食べることが大好きという人は多いと思います。食事のどんなところに気をつかっていますか。話題の新刊『にこにこマンガ 88歳現役医師のときめいて生きる力』から、夜の晩酌を何より大事にしている帯津良一さんの食養生についてご紹介しましょう。

★帯津先生の持たない暮らしとは★

目には青葉 朝の気功に夜の酒

食べることは私の生きがいのひとつです。ひと頃は「私の養生は『目には青葉 朝の気功に 夜の酒』です」と言っていたくらいです。「目には青葉 山ほととぎす 初がつお」ですから、「旬のものを食べる」という意味が込められています。

四季がある日本では、その時期にしか食べられない旬の食べものがたくさんあります。それらをつまみに一杯やるのが、私にとって至上のよろこびです。

そして、朝の気功は生命場のエネルギーを回復してくれます。いまはもっぱら太極拳ですが、気功も太極拳もどちらも日々の養生に役立つことは間違いありません。太極拳は初心者にはいささか難しいので、講演会などでは私が考案した「時空」という気功をみなさんと一緒に行うようにしています。

夜の酒は私の養生には欠かせません。仕事が終わったあと、ほっとして「今日も終わった」と一杯飲むのが最大の楽しみとなっています。

患者さんのなかには、ゲルソン療法や玄米菜食など制限の多い食事療法を、一歩も外れないようにやろうとがんじがらめになっている人もいますが、食べることは生きがいですから、自分が好きでおいしいと感じるものをよろこんで食べたほうがいい。私はそう思います。

酒は天の美禄なり 何よりの養生

私がこよなく大事にしているのが、夜の晩酌です。

尊敬する貝原益軒の養生訓の一節、「酒は天の美禄なり。少のめば陽気を助け、血気をやはらげ、食気をめぐらし、愁を去り、興を発して甚(だ)人に益あり」を金科玉条として、毎日の晩酌を楽しんでいます。

平生はビールと焼酎とウイスキーですが、時と場合によってはなんでも飲みます。晩酌の供は湯豆腐と刺し身が主力ですが、いかの塩辛、筋子、たらこ、からすみなども大好きで、見るだけでいとおしくなってきます。

若い頃から酒好きでしたが、年齢を重ねるごとに酒が愛おしくなり、60代を過ぎてからは一日一日が晩酌を中心に回り、自然体のまま楽しめるようになってきました。70代になると、「今日が最後の日」「晩酌は最後の晩餐」となり、毎日がときめきに溢れています。

6時になれば、まずはよく冷えたビールを一杯。一気に飲み干すと背筋がピンと伸びます。次いでロックグラスを満たす琥珀色の液体を、カラリと音を鳴らしながらいただくと、今日もあと5時間半しっかり生きるぞという、ある種の覚悟が生まれるのです。これぞ食養生の粋と言えましょう。

好きなものを少しだけ食べる幸せ

患者さんのなかには食事療法を求める方がいらっしゃいます。

私の病院でも、漢方粥、玄米菜食などを取り入れていましたが、何年か過ぎた頃に「万人向けの食養生というものは存在しないのではないだろうか」という考えが、頭をもたげてきたのです。

そこで、病院食はそれまでどおりにしましたが、戦略会議では「食養生は一人ひとり異なるから、自分の理念の食養生を築いてください」とお伝えするように なりました。ということで、私の食養生の基本は「好けるものを少し食べよ(好きなものを少しだけ食べる)」となりました。これも貝原益軒の教えです。

やはり好きなものを食べてよろこぶ、これが命のエネルギーを高めます。そして、「少しだけ」というのも大事なのだろうと思います。いくら楽しんで食べたとしても食べすぎはよくありません。私もそれほどたくさんは食べません。

朝昼はさっとすませるので食事のメインは晩酌です。まずは湯豆腐。野菜やきのこなどはなしで、豆腐だけをしょうがじょうゆやポン酢などでいただきます。あとは、刺し身やからすみなどつまみを少々。これだけあればもう大満足です。好きなものを少しだけ食べるのは至上のよろこびです。

※この記事は『にこにこマンガ 88歳現役医師のときめいて生きる力』帯津良一著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


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