「おばこ天使 ある青春―重症児と共に生きる」藤原陽子著:障害児との心の交流描く

 日本が高度経済成長を謳歌(おうか)していた昭和40年代、本県から都内や関西の重症心身障害児(重症児)施設に看護や保育のスタッフとして集団就職した女性たちがいた。献身的な働きぶりは新聞やテレビで話題となり、「おばこ天使」と呼ばれ称賛された。その数は1965年からの13年間で約200人に上る。

 飯田川町(現潟上市)出身の田村陽子さん(79)=旧姓藤原、大潟村=もその一人。東京都東村山市の秋津療育園で65年7月から1年8カ月間、保育助手として働いた。この時の経験をまとめたのが、67年刊行の「おばこ天使 ある青春―重症児と共に生きる」。人の役に立ちたいとの志を抱いて園に就職した経緯や、重症児と向き合う中で感じた喜び、葛藤を、温かくも鋭い視点で記録している。

© 株式会社秋田魁新報社