「ようやく子育てが終わった」55歳の主婦です。貯蓄を始めたいのですが、定年後は「ほとんどお金を貯められない」って本当ですか?

貯蓄を意識しているシニア世代の平均貯蓄額

ソニー生命保険株式会社では、全国における50~79歳のシニア世代に対して、生活意識調査(2023年)を実施しています。

上記調査より、現在の楽しみについて「貯蓄」と答えた方は全体の8.9%であり、2022年の調査時(13.2%)よりも4.3%減少していることが分かりました。なお、最も回答が多かったのは「旅行」であり39.9%を占めています。

現在の楽しみを「貯蓄」と答えた方に、1ヶ月当たりの貯蓄額を尋ねたところ、男女計の平均額は4万4000円でした。今までの調査結果と比較すると、表1の変化が見られます。

表1

※ソニー生命保険株式会社「シニアの生活意識調査2023」を基に筆者作成

表1の結果より、2021年と2023年の平均貯蓄額の差は1万4000円です。貯蓄に対して意識が高いシニアでも、年々貯蓄額が下がっていることが分かります。

貯蓄額が減った原因として考えられること

シニア世代の貯蓄額が下降していることが分かりましたが、原因としては以下の点が考えられます。

__●物価高騰
●年金不足問題
●出費の増加__

大きな原因としては、度重なる物価高騰や年金不足の問題が影響していると考えられます。今までと同じ生活を送っていたとしても、毎月の支出が増えればその分貯蓄に回すお金が少なくなってしまうでしょう。

さらにもう一つの原因として、新型コロナウイルスによる行動制限が緩和され、以前よりも出費が増えたことが推測されます。

同調査での「旅行に対する出費」を見てみましょう。旅行が楽しみと回答したシニアにおける平均支出(月額)は、表2の通りです。

表2

※ソニー生命保険株式会社「シニアの生活意識調査2023」を基に筆者作成

表2を見てみると、旅行に対する出費が2021年よりも5000円増えていることが判明しました。上記の数字は1ヶ月あたりの平均額なので、旅行の回数が増えればその分出費がかさみます。

定年後90歳まで生きた場合はいくら必要?

仮に65歳で定年退職したと仮定して、90歳まで生きた場合の生活費を計算してみましょう。

総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における1ヶ月の支出は、26万8507円とのことです。1年間で322万2096円、90歳までの25年間で8055万2400円のお金が必要となります。

定年後は収入がなくなるもしくは減少する可能性もあるため、早いうちから計画的に資金を用意しておくことが大切です。限られた収入のなかで、十分に貯蓄していくのは難しいかもしれません。

もちろん支出は各家庭でバラつきが見られますので、あくまで目安として参考にしてください。

定年後のために早いうちから貯蓄しておこう

定年退職後は、年金収入のみとなります。仮に再雇用や再就職して働き続けたとしても、現役時代よりも収入が減少する可能性があるようです。

退職金が入ると考えても、今までと同じ出費が続くと、そのうち生活が厳しくなることが予想されるでしょう。そのため早めに老後資金を準備しておくことをおすすめします。

出典

ソニー生命保険株式会社 シニアの生活意識調査2023
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要(18ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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