Snow Man 深澤辰哉の“モテの才能”が活きる 『春になったら』岸くんは真骨頂となる役柄に

Snow Manの“リアコ製造機”こと深澤辰哉が、『春になったら』(カンテレ・フジテレビ系)で真骨頂となる役柄に挑戦している。

同作で深澤が演じている“岸くん”は、主人公・瞳(奈緒)の学生時代からの友人。10年近くもの間、彼女に恋心を寄せてきたものの、美奈子(見上愛)を含めた仲良しトリオの関係を壊したくなくて、想いを内に秘めてきた……というなんとも切ない役どころだ。しかも、瞳は岸くんの気持ちにまったく気付いていない。

恋愛ドラマにおいて、ヒロインと結ばれる本命キャラよりも、視聴者からの人気を集めることが多いのが、当て馬キャラ。昔からヒロインのことを知っているけれど、恋愛対象としては見られていない。頼りにされているから、好きな人との関係がうまくいかないときに相談をされたりする。こんなに辛いなら、いっそのこと友達もやめてしまった方がいいのではないか……なんて思っても、結局はそばから離れることができない。岸くんは、“当て馬あるある”を網羅しているキャラクターだ。

筆者は、深澤は大きく分けてふたつの強みを持っている俳優だと思っている。ひとつ目は、『今日からヒットマン』(テレビ朝日系)で演じた山本のようなおちゃらけキャラ。バラエティ番組『それSnow Manにやらせて下さい』(TBS系)でも、深澤は積極的にボケて笑いをとってみたりと、三枚目な一面を見せることが多い。だから、主演を務めたスピンオフドラマ『今日からラブリーマン』(TELASA)のようなコメディ作品にもハマることができるのだと思う。台詞を言うテンポや、ちょうどいい間を掴むことに長けているのは、ふだんから笑いを研究しているからこそ。

そして、ふたつ目は、『春になったら』の岸くんのようなリアコキャラ。切なさが全面に出ている岸くんは、おちゃらけとは対極に位置する役柄なのに、こちらも見事にマッチしているのがすごい。瞳の写真を愛おしそうに見つめる表情や、雅彦(木梨憲武)との接し方など、とにかくリアコ要素が半端ないのだ。カッコつけているわけではなく、“ナチュラルにモテる人”の空気を纏っている。おそらく、これは天性のものなのだろう。2023年12月14日に放送された『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)で、深澤と同じ高校に通っていた鈴木愛理が、「(深澤のことを)好きすぎるがゆえにみんな取り合い。伝説の人がいると言われていた」と明かしていたことがあったが、『春になったら』でも、このモテの才能が活かされている。

これまで岸くんは、瞳と一馬(濱田岳)の恋路をひそかに見守る側に回っていたが、第5話からは“覚醒”するようだ。ちなみに、瞳の父・雅彦は、一馬のことは敵視しているものの、岸くんのことは気に入っている。「これはチャンス到来か?」と思ったけれど、瞳は美奈子が岸くんに想いを寄せているのを知っているため、裏切るようなことはできない気も……。

また、予告では岸くんが一馬に「瞳にあなたは相応しくない」と宣戦布告をしている場面があった。ずっと想いを寄せてきたことを考えると、ポッと出てきた売れないお笑い芸人に瞳を奪われてしまうなんて、受け入れられないのも分かる。美奈子と岸くんが結ばれれば、仲良しトリオの関係も継続されるのになぁ……なんて思ってしまうが、一筋縄ではいかないのが恋愛のむずかしいところ。

とにかく、これまで想いを隠して、瞳の信頼できる友達で在り続けてきた岸くんが、ラストでは幸せそうに笑っている姿が見られることを願っている。

(文=菜本かな)

© 株式会社blueprint