【1日3分間のメンタル強化法 第4回】「スラーィス」などのオノマトペを使った練習法で良い感覚を呼び覚ます!<SMASH>

メンタルを強くしたいけれど、大変そうで敬遠している人はいないでしょうか。そこで、伊達公子や浅越しのぶを指導した経験を持つメンタルアドバイザーの椙棟紀男氏が、メンタルの強化方法を伝授。一般プレーヤーもすぐに取り組めるように、短い時間でのトレーニング方法を紹介していきます。

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「ぽかぽか」「ストーン」「ひゅーひゅー」「クッ、パシーン」「ぐんぐん」このような擬声語や擬態語のことをフランス語で“オノマトペ”と言います。これらの感覚的な言葉を「うまくテニスに生かそう」が今回のテーマです。

30年ほど前、伊達公子さんや浅越しのぶさんを指導されていたテニスコーチの小浦猛志氏と出会った時のことです。スライスの苦手な選手に「スラーィス」と言いながらボールを打ちなさいと指導していました。

言葉と身体の使い方を重ね合わせたコーチングをする現場を見て、すごいコーチがいると思いました。スライスの他にも、「トップ、スピン」と言いながらボールを打たせていたことを覚えています。

これらは言語の持つ不思議な力と身体の使い方を一致させる練習方法なのです。
そこで皆さんも、自分のショットの感覚を言語(オノマトペ的)にすることを行なってみてください。すなわちショットの感覚を自分なりに言語化して一致させていくのです。

フォアハンドであれば「タッ、タァーン」、スライスであれば前述した「スラーィス」など、自分にピッタリと合う言語を探す作業です。そして実際に声に出してボールを打つ練習をしてください。きっと思い通りに打てて楽しいはずです。

自分で考えたオノマトペはあなたに合うものであり、それを言いながら打つのはあなただけの不思議な世界です。しかし、しっくりとくる言語とフォームを重ね合わせておけば、試合で調子が悪い時に、言語(オノマトペ)を使って良い感覚を呼び戻すことも可能です。

スポーツオノマトペには、強い力が出る、素早く動ける、リズムやタイミングが取れるなどの身体的効果があります。さらに、緊張が取れる、自信が持てる、気持ちを切り替えられるなどの精神的効果があると言われています。

◆解説=椙棟紀男
㈱トレビック代表取締役。アスリートをサポートする、メンタルアドバイザー。様々なスポーツ選手を見ており、テニスでは伊達公子や浅越しのぶを指導した経験を持つ。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2020年5月号から抜粋・再編集

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