オマエはドッペンゲルガーか? 酷似しすぎたヤマハ3大そっくりバイク

世の中には自分に似ている人が 3 人いると言われています。バイクも同様に「どこかで見たような…」と思うほど酷似したモデルが存在します。敬意を込めたオマージュなのか? ウケを狙ったパロディなのか?はたまたドッペンゲルガーなのか?
ヤマハの3大ソックリバイクを紹介します。

V MAXのパチモンと呼ばないで!「FZX750」

「FZX750」は、1986年から1993年まで発売されました。ロー&ワイドなフォルムに、ロードスポーツFZ750の5バルブ並列4気筒ジェネシスエンジンを搭載しています。ジェネシス
(創世期を意味)は、人機一体感を追求したエンジンレイアウトで、ヤマハが世界で初めて開発しました。クルーザーモデルであるFZX750への採用は、同時期に発売されたカワサキ・エリミネーター750を意識してのことでしょう。

初めて見たのに懐かしく感じるのは、V MAXそっくりだから。ドラッグレーサー風の低いスタイルやダミータンクはもちろん、Vブーストが装着されていないのに、それっぽい飾りまで付いています。しかし両車を見比べると迫力や高級感が違います。悲しいかなFZX750からはコレジャナイ感が漂っていますね。

画像出典:ヤマハバイク【公式X】

FZX750が発売された当時、すでに逆輸入車が一般化していたので、「V MAXもどきが発売された!」と喜ぶ人はいませんでした。FZX750の素晴らしさを理解してくれたのは教習所くらいなもの。最適な750ccのモデルが少なかったこともあり、1993年に途絶えていた生産が1998年に復活。しかしながらチャンスを活かすことなく再び消えていきました。

ジールも仲間だよ♡

画像出典:ヤマハバイク【公式X】

あまり知られていませんが、1991年に発売されたジールの正式名は「FZX250」でした。イメージキャラクターに、当時大人気の若手俳優「加勢大周」を起用。ライバルのカワサキ・バリオスの牙城を崩すために販売されるも、不人気車の車名を受け継いだ呪いなのか、こちらも不発に終わりました。

似てるんじゃないやい!結果そうなったんだい!「TRX850」

「TRX850」は、1995年から1999年まで発売されました。今でいうところのアドベンチャーモデル「TDM」の水冷並列2気筒DOHC5バルブエンジンを360度クランクから270度クランクに変更して搭載。この技術は世界初で、パラレルツインながらVツインの特性を持つエンジンに仕上げられています。

画像出典:https://www.hemmings.com/classifieds/dealer/ducati/900ss/2653649.html

初めてなのに懐かしく感じるのは、ドゥカティにそっくりだから。似ているどころではなく、かなり酷似しています。白いトラスフレームに赤いボディはドゥカティに瓜二つ。実のところパラレルツインとトラスフレームは相性が良く、ベストなセッティングを求めると、こうなってしまうらしいのですが……。

画像出典:レッドバロン【公式X】

リッターバイク全盛の時代に排気量850cc、通好みなパラレルツインエンジン、そしてドゥカティ?と言われそうなデザイン。「世界初の270度クランクを採用したヤマハワークス直系のエンジンで、当時のカリスマ的ライダー「平忠彦」が8耐で駆ったマシンなんだよ」と聞いても、ピンとくる人は少ないでしょう。ちなみに平さんと夢グループの石田社長は福島県出身。おっとりした雰囲気がソックリです。

早くホンモノになりたかった妖怪人間「SR400/500」

画像出典:ヤマハ発動機

「SR400/500」は、1978年から生産終了まで43年間にわたり基本性能を変えることなく販売されたロングセラーモデルです。スタイルは古い英国車そのもの。エンブレムを変えるだけで、トライアンフやノートン、BSAに早変わりする由緒正しき(いい意味でね)パチモンです。

画像出典:ヤマハ発動機

2021年1月21日に発表された「ファイナルエディション」および「ファイナルエディション・リミテッド」は争奪戦で、中古車もプレミアム価格になりましたが、発売当時から人気者だったわけではありません。ゼファーにより古典的モデルが注目され始めた1990年頃からジワジワと人気が出てきたと記憶しています。

画像出典:http://blog-imgs-43.fc2.com/s/r/5/sr500maniax/25_02.jpg

SRが偉大なのは、長い時間をかけてカスタムベースとしての地位を築き上げてきたことです。例え大幅なカスタムを施し、音叉のエンブレムをBSAに変えたとしても、マネやパクリとは言われません。1997年にはイギリスのオートバイメーカー「BSA」が、SRのエンジンをベースに車両を製作するという逆転現象が起きました。例えるなら明石家さんまさんが、ほいけんたさんのモノマネをするに等しい快挙です。

クリカンさんを見習ってほしい!

画像出典:レッドバロン【公式X】

戦後の日本の工業製品はマネから始まりました。マネっ子は日本のお家芸と言ってもいいでしょう。モノマネを得意としていた栗田貫一さんが、山田康雄さんの没後、ルパン三世の声優に抜擢されたように、マネも究めればホンモノになるはず。TRXも根気よく続ければ、ドゥカティと肩を並べたかも知れませんね…そんなワケないか。

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