中国青海省の熱水墓群、23年の考古学調査で新成果

中国青海省の熱水墓群、23年の考古学調査で新成果

熱水墓群北1区「M37」号墓(羊圈墓)の祭祀用建築跡。(資料写真、西寧=新華社配信)

 【新華社西寧2月12日】中国青海省にある唐代初期の吐蕃の大型墓群「熱水墓群」の合同発掘チームは2023年、墓群配置の研究を深め、国家考古学遺跡公園の建設を進めるため墓群北1区にある「M37」号墓(通称「羊圈墓」)を綿密に調査し、地上の陵園と付属建物を発掘した。陵園の形状は同墓群出土の「2018血渭(けつい)1号墓」と類似し、墓群でこれまでに発見された陵園の中で最大規模の墓となった。

 熱水墓群は同省海西モンゴル族チベット族自治州都蘭県熱水郷にあり、合同発掘チームが18年以降、6~9世紀のチャイダム盆地南東辺で活動していた遊牧民の居住形態の探求、熱水墓群の配置と数量の把握という学術目標のため発掘、探査している。

中国青海省の熱水墓群、23年の考古学調査で新成果

熱水墓群北1区「M37」号墓(羊圈墓)で出土した祭祀用建築の木門遺構。(資料写真、西寧=新華社配信)

 羊圈墓の陵園の平面プランは方形で、一辺の長さは50メートル。南東部では祭祀(さいし)用と思われる付属建物が見つかった。2018血渭1号墓の建物跡が2カ所だったのに対し、羊圈墓は3カ所あり、うち最も大きい建物跡は陵園の東壁の内側に位置していた。発掘チームは最大の建物跡でれんが作りの方形の祭壇を発見。専門家によると、熱水墓群でれんが造りの祭壇が見つかるのは初めてで、祭壇の中からも大量のれんがが発見された。2018血渭1号墓では祭壇は見つかっておらず、れんがの出土も少数であり、陵園の祭祀性建築の規模と数量を見ても羊圈墓の被葬者の身分が2018血渭1号墓よりも高いことがうかがえる。

中国青海省の熱水墓群、23年の考古学調査で新成果

熱水墓群北区の発掘エリア。(資料写真、西寧=新華社配信)

 熱水墓群は数年にわたる調査により、都市遺跡と宗教施設、墓地が一体となった遊牧民族の集落形態であるという新たなビジョンが確立している。2018血渭1号墓は2021年、青藏高原で発見された高位者墓の中で配置が最も整い、構造が最も明瞭で、形状が最も複雑な墓として2020年全国十大考古新発見に選出。熱水墓群も21年10月に中国近代考古学誕生100年を記念して発表された「百年百大考古発見」に選ばれている。(記者/白瑪央措、耿輝凰)

中国青海省の熱水墓群、23年の考古学調査で新成果

熱水墓群北1区「M37」号墓(羊圈墓)で出土した陵園内で最大の規模を持つ祭壇付き建物跡。(資料写真、西寧=新華社配信)

中国青海省の熱水墓群、23年の考古学調査で新成果

熱水墓群北1区「M37」号墓(羊圈墓)の祭壇のれんが。(資料写真、西寧=新華社配信)

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