冬を彩る伝統行事 各地で

10日、11日の2日間、県内各地ではさまざまな伝統行事が行われました。今年は雪不足の影響もありましたが、多くの人が会場に足を運び、冬の風物詩を楽しみました。

大館アメッコ市は大館市で400年以上前から続く小正月行事です。「この日にアメを食べるとかぜをひかない」と言い伝えられていて、会場には色とりどりのアメを売る店などおよそ80の出店が並びました。山の神様、白ひげ大神もアメを求め山から下りてくると伝えられています。帰りは足跡を隠すため吹雪になると言われていますが、今年は2日間ともおおむね天候に恵まれ、会場はアメを買い求める大勢の人でにぎわいました。ひと際人気を集めていたのが、からみアメのふるまいです。10日昼すぎには長い行列ができていました。木の棒に巻き付けられたやわらかな水あめを多くの人が味わいました。今年の大館アメッコ市には2日間でおよそ8万3000人が訪れました。

400年以上続く湯沢市の伝統行事、犬っこまつりは悪党が襲ってこないようにと家の入り口に米の粉でつくった犬を供えたのが始まりとされています。今年は雪不足の影響でお堂と犬の雪像は例年よりも少なく、気温が高いため雪像にのっての記念撮影はできませんでした。それでも会場は多くの家族連れなどでにぎわいました。多くの愛犬家が訪れることでも知られる犬っこまつり。今年も愛犬の健康を願う飼い主の姿が見られました。犬っこまつりには2日間でおよそ14万人が訪れ、湯沢の伝統行事を満喫しました。

10日の大仙市、刈和野の大綱引きの会場では雪不足のため昼過ぎから道路に雪を敷く作業が行われました。しかし、会場近くにためておいた雪では綱を合わせる中央部分の20メートルほどしか敷き詰められませんでした。これほどまでに雪が少ないなかで綱引きをした経験はないと地域の人たちは口をそろえます。引いた綱が地面との摩擦で切れたりしないか、転倒してけがをしたりする人はいないか心配はつきませんが、地域にとって欠かせない伝統行事です。500年以上の歴史があり、国の重要無形民俗文化財にも指定されている刈和野の大綱引き。上町の雄綱と下町の雌綱が合わさり、いよいよ本番です。掛け声とともに重さおよそ20トンの綱を一斉に引き合いました。黄色いのぼりの上町が勝てばコメの値段が上がり、赤いのぼりの下町が勝てば豊作になると言われています。およそ30分の引き合いの結果、今年は上町が勝ちました。時折、あられや湿った雪が降るなか、会場は終始熱気に包まれていました。

川を渡るぼんでんは大仙市の花館地区で毎年2月11日に行われる小正月行事です。男衆たちはぼんでん唄を歌いながら練り歩き、新築の家や厄年の人がいる家を訪れます。災いを分かち合うという意味が込められていて、家内安全や無病息災を祈願し、地域の人たちは赤飯やいぶりがっこで男衆たちをもてなします。170年以上にわたって受け継がれてきた伝統行事。地区を練り歩いた後、ぼんでんが続々と雄物川の船着き場に集まります。目指すのは対岸の山の上にある伊豆山神社です。橋がなかったころの名残で今も渡し舟に乗って川を渡ります。今年は13本のぼんでんが川を渡り、神社に奉納されました。

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