めでたいはずの春節の到来を心から喜べない中国人―独メディア

10日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国の労働者が失業に対する憂いを抱えながら春節を迎えていると報じた。

2024年2月10日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国の労働者が失業に対する憂いを抱えながら春節(旧正月)を迎えていると報じた。

記事は、今年は2月10〜17日が中国の春節連休に当たり、本来であれば人々が新年を祝い、心身をリラックスさせる期間だが、今年は「いつ雇い主から仕事に戻ってこなくていいと言われるか分からない」という不安を多くの人が抱える中での年越しになったと伝えた。

そして、製品を主に欧米に輸出している電動歯ブラシメーカーに勤める40代の労働者が「昨年の売り上げは前年比30%減と厳しい状況だった。日々の暮らしはますます厳しくなっていて、今年はもっと大変になるかもしれない」と語ったことを紹介。中国では金利の上昇と外国における保護主義の台頭に伴う需要の低下、さらには国内メーカーによる激しい価格競争によって企業の利益が日に日に縮小しており、不動産危機や債務の緊縮にあえぐ中国経済に新たな悩みをもたらしていると評した。

また、昨年の中国の経済成長率は5.2%となったものの、特に若い世代や不動産を所有する市民にとっては経済の萎縮を肌で感じる状況になっているとし、上海の動物病院に勤務していたという24歳の女性が「会社はこれまで急速に規模を拡大してきたが、新型コロナを境に多くの拠点が閉鎖され、従業員が解雇された。多くの同僚の月給もピーク時に比べて1000元(約2万円)以上減少し、解雇されなかったスタッフにも影響が及んでいる」と語ったことを紹介した。

記事はその上で、中国政府がここ数カ月の間に経済回復に対する自信に関する宣伝を強化しており、中国共産党機関紙の人民日報も2日に「国全体が楽観的な向上のムードにあふれている」と題した文章を掲載したとする一方、中小企業経営者からは「これからの日々を楽観視する要素などない」といった悲観的な声が聞かれたことを伝えた。(翻訳・編集/川尻)

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