イスラエル向けF35部品輸出停止命令、オランダ政府に裁判所

Stephanie van den Berg

[ハーグ 12日 ロイター] - オランダの控訴裁判所は12日、F35戦闘機の部品のイスラエルへの輸出を7日以内に停止するようオランダ政府に命じた。イスラエルがパレスチナ自治区ガザを攻撃していることを踏まえ、輸出した部品が国際法に違反して使用される恐れがあると指摘した。

オランダ政府は外交政策を決めるのは裁判所でなく国家であるべきとし、最高裁に上告する方針を示した。

オランダには、米国が所有するF35部品の備蓄拠点があり、イスラエルを含む国の求めに応じて輸出している。イスラム組織ハマスがイスラエルを急襲した昨年10月7日以降、イスラエルには少なくとも1回、部品が輸出された。

裁判は、オックスファムのオランダ支部など複数の人権団体がオランダ政府を相手取って昨年12月に起こした。

一審は、F35が戦争法違反に関与している可能性があるとしながらも、オランダ政府に輸出停止を命じることはなく、武器輸出に関する決定で政府が政治的、政策上の問題を考慮する裁量を有するとの判断を示した。

控訴審は、そのような問題は国際法違反の明確なリスクに優先するものではないと指摘。

「輸出されたF35部品が国際人道法の重大な違反行為に使用される明確なリスクは否定できない」とし、F35がガザ攻撃に使用され、受け入れがたい民間人の犠牲者を出している可能性が高いと述べた。輸出許可で新たなチェックをする必要はないとの政府の主張を退けた。

ファン・リーウェン貿易相はF35がイスラエルの安全保障に重要だとした上で、同国向けの供給全体にオランダからの部品輸出停止が実質的な影響を及ぼすかは現時点で不透明と指摘。「オランダはイスラエルと協力する国々でつくる大きな連合の一部であり、パートナーらと対応を協議する」と述べた。

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