NATO各国、結束・冷静表明 「トランプ氏発言はロシア利する」

[ハーグ/ヘルシンキ/ブリュッセル 12日 ロイター] - オランダのオロングレン国防相は12日、トランプ前米大統領が北大西洋条約機構(NATO)加盟国をロシアによる侵攻から防衛しない可能性があると述べたことについて、「まさにロシアのプーチン大統領が聞きたい発言」という認識を示した。

11月の米大統領選で共和党候補となる公算の大きいトランプ氏は10日に南部サウスカロライナ州で開いた選挙集会で、過去に会談したNATOの主要加盟国の首脳から、もし同国が拠出金を払わず、かつロシアから攻撃を受けた場合に、米国が防衛してくれるかとの質問をされたと言及。「私はあなた(の国)を防衛しない。逆に、彼らに好きなようにするよう伝えるだろう。拠出金は払わなければならない」と回答したとした。

オロングレン氏はロイターに対し、「われわれの強さは結束だ。結束しなければ弱体化する。それがプーチン大統領の望んでいることだ」と語った。

トランプ氏がこのような発言をすることが初めてではいないとしつつも、「NATO加盟国に対し現実的な脅威が存在する中、主要な人物によるこのような発言は憂慮すべきもの」と述べた。

ロシアと国境を接するフィンランドのストゥブ次期大統領は、米大統領選で使用されるレトリックは激しいとした上で、「フィンランドは冷静さを保ち、NATO加盟に専念することが最善策」という見解を示した。

また、バルト3国の1つであるエストニアのカラス首相は、トランプ氏の発言は「防衛費拠出に大きく寄与してこなかったNATO加盟国に対する警鐘になるだろう」と述べた。

カラス首相と共同会見した欧州議会のメツォラ議長も、欧州連合(EU)は防衛に向けた拠出を拡大すべきという認識を示した。

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