日専校、感謝の出前授業 成沢小で 双子児童、定期券拾った縁 茨城・日立

定期券を拾ってくれた大津陽太君(手前中央)と蒼太君(同右)に感謝状を渡す猪口健太さん(左)=日立市中成沢町

茨城県日立市中成沢町の市立成沢小(熊谷智仁校長)で、日立工業専修学校(日専校、今泉良校長)によるプログラミングの出前授業が行われた。日専校の生徒が落とした定期券を成沢小児童が拾ったことをきっかけに縁が生まれた。定期券の持ち主の生徒も参加し、感謝の気持ちを胸にものづくりの楽しさを伝えた。

出前授業は、問題を解決するために道筋を立てて考える「プログラミング的思考」の基礎を養ってもらおうと企画され、1日に実施された。定期券を拾った双子の大津陽太君(10)と蒼太君(10)を含む4年生30人が参加した。

2人は1月中旬の朝、通学路上に定期入れが落ちているのを見つけた。「拾ったらまずいかな、少し怖いな」と最初はためらったが、「困っている人がいるかも」と話し合い、学校で立哨指導していた熊谷校長に届けた。

持ち主は、同小から国道6号を挟んで西側約700メートルにある日専校電気科2年の猪口健太さん(17)だった。通学に使うバスの1カ月定期が入っていた。紛失した翌朝、「買い直すようかな」と肩を落として登校すると、先生から「小学生が拾ってくれたよ」と戻された。

熊谷校長が日専校へ定期券を届けた際に「これを機に交流を」と両校の考えが一致し、この日の出前授業につながった。2人の行動に「本当にうれしかったし、感心した」と2人の行動力に感謝を示す猪口さんもこの日、同級生と一緒にサポート役で参加。冒頭、自ら用意した「感謝状」を2人に手渡し、周囲は拍手で2人をたたえた。

授業で児童たちは、プログラミング教材の「マイクロビット」を使ってカーリングロボットを思い通りに動かすことに挑戦。進む距離や曲がる加減などのプログラムを端末に入力し、失敗と修正を繰り返しながらカーリングゲームを楽しんだ。

陽太君は「プログラミングは初めてで先を読むのが難しかったが、やってみると面白い。授業も感謝状もうれしかった」と笑顔を見せた。猪口さんは児童と同じ目線でプログラミングを教え、2人と交流。「一緒に解決できた瞬間が多くあって楽しい時間を過ごせた」と語った。

高校生と一緒にカーリングロボットを動かす児童=日立市中成沢町

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