天下の奇祭「国府宮はだか祭」4度めの挑戦で憧れの神男に決まった37歳男性 祭当日は生まれたままの姿で…早速理髪店で眉毛以外の毛をすべてそり落とす

今月22日に愛知県稲沢市で行われる天下の奇祭「国府宮(こうのみや)はだか祭」。その主役となる神男(しんおとこ)の選定式が11日に行われました。

稲沢市の国府宮の楼門(ろうもん)の前に建てられた標柱(しめばしら)。祭における初めての神事が11日行われました。

天下の奇祭=「国府宮はだか祭」は、神男に触れ厄を落とそうと、下帯姿の男たちが激しい「もみ合い」を繰り広げることで知られています。ことしは参加する人の数の制限も撤廃されます。さらに、コロナかで実施されたマスク着用の制限もなくなるなど、4年ぶりの通常開催となります。

11日、午前10時から国府宮で行われたのは神男を決める選定式です。ことしの志願者は25歳から50歳までの6人、くじ引きの結果、愛知県長久手市の自営業 大桒佑起(おおくわ・ゆうき)さん37歳に決まりました。

(大桒佑起さん)
「神男になりたいと思って20年目の節目なので、ようやくなれたという気持ち。初めての経験になるので、全くわからないのが正直なところ。先輩方によく聞いて謹んで受けたいと思います」

神男に決まった後 早速向かったのは理髪店

実は去年。

(大桒佑起さん)
「今回3度目の挑戦です」

(佑起さんの父・利仁さん)
「選ばれてほしい」

「チャント!」は大桒さんと父親の利仁さんを取材。しかし、大桒さんは残念ながら神男に選ばれませんでした。

(父・利仁さん)
「だめだったみたいですね。あぁもうだめだったんだなって」
(大石邦彦アンカーマン)
「首を横に振っていた?」
(父・利仁さん)
「振ってましたね」

振り返ると大桒さんがはじめて神男に志願したのはコロナ禍前の2019年。そして、2020年。しかし、2021年と22年は祭りのもみ合いは中止に。2023年の去年も夢かなわず…。

そしてことしようやく、神男に選ばれたのです。選定式の後、大桒さんは神社で参拝を済ませ、その足で理髪店へ。神男は眉毛以外、全ての毛を剃り、生まれたままの姿になる必要があります。

Q頭を丸めると心境に変化はある?
(大桒佑起さん)
「そうですね、なんかもう身が引き締まるというか、気持ちが締まるというか、やっと実感がわいた感じです」

父親「無事務めあげてほしい…」

散髪が終わり、大桒さんが向かった先は愛知県清須市の一軒家。ここは、大桒さんが小学5年の時にはじめて、はだか祭に参加した時から利用していた宿元です。祭り当日は、自宅のある長久手市は遠いという理由から、身を寄せていました。

今回のはだか祭りも、この家から国府宮に向かいます。11日、息子の帰りを待ちうけていた父親の利仁さん。4度目の挑戦でようやく夢かなった感想は。

(父・利仁さん)
「本人が張り切っていますので、ちょっと心配はありますけれど。本当になるとは思わなかったので」

喜びと心配…無事に務めあげてほしいという親心が伺えました。

そして選定式から一夜明けた12日。大桒さんの清須市の宿元には、去年と、2020年に神男を経験した2人と、はだか祭に参加する清須市の地域団体の関係者が集まり、選定式で授かった神男の証=差定符(さしさだめふ)に向かって挨拶です。

(大桒佑起さん)
「ようやく朝起きた瞬間に実感がわいたというか、本当だったんだっていう。まずは健康が第一になってくるので、風邪も引かないように、先輩方を見習って一生懸命頑張るだけです」

興奮して昨夜はすぐには寝つけなかったという大桒さん。このあと訪れたのは、稲沢市の農協センター。行われたのは。

稲沢市の「維新の会奉賛会」による鏡餅作りです。餅は、はだか祭前日に、神社へ奉納されます。さっそく始まった神男=大桒さんのおつとめ。また、祭りに備えて2月19日から3日間は、神社の儺追殿(なおいでん)に入り身を清めますが、12日の鏡餅作りを終えた感想は。

(大桒佑起さん)
「初めての餅つきなので、正解が分からなくて。みなさんに喜んでもらえればいいと思います」

長年、あこがれてきた「国府宮はだか祭」の「神男」。大桒さんは12日あらためて。

(大桒佑起さん)
「一人一人の思いがあるので、いまは自分ができることをやっていけたらなと。一生懸命頑張ってやっていけたらと思っています」

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