藤井 風、BUMP OF CHICKEN、RADWIMPS 野田洋次郎、Mr.Children…今年も映画主題歌発ヒットに期待

2023年は『君たちはどう生きるか』『ゴジラ-1.0』『名探偵コナン 黒鉄の魚影』『怪物』と様々な邦画がヒットした。特に『君たちはどう生きるか』や『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は映画と共にそれぞれの主題歌も大きなヒットを獲得し、米津玄師の「地球儀」やスピッツの「美しい鰭」は昨年の国内音楽シーンを代表する1曲となった。2024年はどのような映画主題歌がヒットするのか、本稿では現在公開が決定している邦画とその主題歌について紹介したい。

3月22日公開の映画『四月になれば彼女は』は『モテキ』『君の名は。』などを企画・プロデュースしてきた川村元気による小説を、米津玄師、あいみょん、水曜日のカンパネラ、Base Ball Bearなどのミュージックビデオの監督を務める山田智和が映像化。佐藤健、長澤まさみ、森七菜という豪華キャストに加え、Mr.Childrenやback numberの楽曲プロデュースや昨年公開の映画『キリエのうた』なども担当した小林武史が音楽を務めるなど、音楽ファンにとっても注目度の高い作品だ。その主題歌は藤井 風の「満ちてゆく」。劇映画主題歌は初となる藤井だが、監督の山田智和とは「青春病」のMVで一度タッグを組んでおり、その親和性は折り紙つき。すでに予告編で楽曲の一部を聴くことができるが、現在と過去、日本と海外、時代や国境を超えるスケールで紡がれる恋模様に寄り添い、照らし出すような藤井 風の壮大なサウンドと歌詞に期待したい。

4月19日公開の映画『陰陽師0』は、1000年近く前に実在したとされる呪術師、安倍晴明が怪奇事件を解決していく人気小説シリーズ『陰陽師』を下地に、安倍晴明が陰陽師になる前の知られざる学生時代を描く完全オリジナルストーリーが展開される。主演の山﨑賢人は『キングダム』や『ゴールデンカムイ』といった史実を基にした作品で多く主演を務めており、『陰陽師0』での熱演にも期待がかかる。そんな『陰陽師0』の主題歌はBUMP OF CHICKENの「邂逅」。BUMP OF CHICKENが実写映画の主題歌を担当するのは「話がしたいよ」(映画『億男』)以来6年ぶりとなる。軽快なテンポが印象的な「邂逅」は、呪いや陰謀、怪奇現象や変死といった重いテーマとバトルが展開される『陰陽師0』を優しく包み込むような主題歌になるはずだ。

2月29日から配信されるNetflix映画『パレード』の劇伴音楽と主題歌はRADWIMPSの野田洋次郎が担当する。監督の藤井道人とは2022年にRADWIMPSとして『余命10年』の主題歌と劇伴でタッグを組んでいる。『君の名は。』『すずめの戸締まり』などでも劇伴を担当し、近年は映画音楽を通して活動や楽曲の幅を広げているRADWIMPS。『パレード』の主人公・美奈子を演じるのは長澤まさみ。未練を残して亡くなったことで、“その先”に行けず、この世界に留まってしまった人々が集い、それぞれの会いたかった人を探す“パレード”に美奈子も参加する、というストーリーだ。誰もがやがて迎える死を通して愛を描く『パレード』の世界観に、野田洋次郎の儚くも切ない歌声と荘厳なコーラス、ストリングスが寄り添う主題歌となっている。

『パレード』と同じく藤井道人が監督・脚本を務めた『青春18×2 君へと続く道』は5月3日に劇場公開される。『青春18×2』は日本と台湾の合作映画であり、主演はシュー・グァンハンと清原果耶。18年前の台湾、そして現在の日本を舞台に時間を超えたふたりのラブストーリーが展開される。そんな『青春18×2』の主題歌はMr.Childrenの「記憶の旅人」。Mr.Childrenが昨年リリースしたアルバム『miss you』は自己と向き合う内省的な歌詞世界とミニマムなサウンドスケープが話題となったが、「記憶の旅人」は鮮やかなサウンドと切ないメロディが印象的な、Mr.Childrenらしさ溢れる1曲となっている。真っ直ぐな愛を描く『青春18×2』に、彼らが添い遂げるような主題歌となることだろう。

ここまで取り上げたように、現在の日本音楽シーンを牽引する錚々たるアーティストたちが今年は多数、映画主題歌を担当する。彼らが映画作品の世界観やストーリーに寄り添い、色を添えるのを得意とするアーティストであることを改めて実感できそうだ。

(文=ふじもと)

© 株式会社blueprint