引っかけやプルスライスを防ぐスイングでの側屈の使い方とは?【ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑/奥嶋誠昭】

側屈が入り、肩の回転がタテになる

【部位】腰椎と胸椎 【機能】側屈

左への側屈から右への側屈に変わる

側屈について見てみましょう。胸郭の左右の傾きのデータがあります。P1では右に9度。動き始めると、P2ですでに左への側屈が入り、P3で33度まで傾きますが、P4では30度程度に戻ります。ダウンスイングが始まってもP5ではまだ左に傾いた状態が保たれていて、P5からP6にかけて左への側屈から右への側屈に入れ替わります。さらにP7、P8へとさらに右への傾きが強まるのは、上半身を右側に残したまま、腰から下を左足の上に移動しつつ、伸び上がりの動きを使ったことを示しています。

右手が下にあるから自然に右に側屈する

側屈がない場合、肩の回転はいわゆるヨコ回転になります。それによってつくられるプレーンはフラットになり、インサイドからインパクトに入れやすくなります。それに対して、側屈を加えた動きで肩を回転すると、プレーンはアップライトになり、インパクトへ上から入れやすくなります。右手を左手より下にして構えているので、打つときにも右への側屈は構造上、自然に出てくるはず。それなのに、腕の力に頼って叩こうとするタイプの人は、なかなか自然に側屈が出なくなります。また、右に側屈すると右肩を低い位置に入れる感覚になりますが、だからといって右肩が前に出なくなるわけではありません。

●側屈の入れ替わりはP5とP6のあいだ

バックスイングで体は左に側屈していく。ダウンスイングを始めると、それが戻り始め、P5からP6にかけてアドレスと同じくらいに戻り、さらに右に側屈していく。

●右肩がダウンスイングで前に出るのは必然的

側屈を入れて右肩をいったん低い位置に入れても、右肩は必ずトップの位置より前に出てくる。ただ、切り返し直後に前に出ると、引っかけやプルスライスを招く。

出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭

【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。

【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭

スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。 その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。

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