【漫画】変わった髪色の少女、強く生きられる理由は? pixivで2.4万いいねを突破『コンプレックスには愛がある』

多くのことが「ガチャ」と表現される現代。しかし、たとえ外れくじだとしても考え方次第でポジティブになれることもある。変わった髪色を持つ主人公が周囲にバカにされつつ、自分を受け入れてくれる存在に出会うSNS漫画が『コンプレックスには愛がある』だ。

現在「ジャンプ+」連載争奪ランキングにエントリーしている本作だが、pixivでは既に約40万ビュー、2.4万いいねを集めるほどの人気を集めている。この人気作の制作について作者・彩島ふう氏(@niwahoshi_27ko)に話を聞いた。(小池直也)

――本作の着想は?

彩島ふう(以下、彩島):他人からコンプレックスだと思われる容姿を気に入っている女の子を描きたかったんです。そこで今回の主人公は髪色が半分半分で違って、周りに変な目で見られるけど「両親と同じだから私は好き」という強い子を描きました。

――数あるコンプレックスのなかでも髪にフォーカスしたのはなぜでしょう。

彩島:最近はおしゃれでツートンカラーにしている人も多いとはいえ、若干リアリティがないようにも思えますが、あえてファンタジーへ落とし込んでみようとデザインしました。自分で髪を染めている男の子・砥上君との目立つ者同士の絡みが面白いかなと。

――先天的なコンプレックスをテーマにしながら、ダークな世界観にならないところも特徴かと思いました。

彩島:それはよく言ってもらえますね。先天的な遺伝は多くが変えられませんが、マイナスなことでも「個性」と考えれば、ポジティブにも捉えられるのかなと。解釈次第で悩まず前向きになれるのかなと個人的な経験からも感じています。

――作画にあたり心掛けたことなどは?

彩島:なるべく白っぽくしたり、全体的な空気感を大事にしましたね。ふたりの対話の間にそよ風が吹いているかのような。特に「どっちかの色に合わせて染めないの?」というページは4段にコマ割りすることで雰囲気を演出できたと思います。

また雑花さんが髪を触られて慌ててしまう場面は、「珍しくて誰も寄り付かないものに誰かが触れてくれた」という特別感を描きたかったんです。家族以外に初めて偏見もなく接してくれる人に出会えた感情が伝われば嬉しいですね。

――第3話以降も続くと予告されていますが、今後ふたりの関係はどうなっていくのでしょう。

彩島:もともと商業のネーム(原案)段階でボツになった物語で、当初は1話の読み切りで終わるはずだったんです。でもせっかくだから絵の練習として完成させたら意外と反響がよくて。pixivではよくても100いいねだったのに、今作で約20000いいねと自分でも驚きです。

一種のコミュニティができるほどに読者の皆さんも盛り上がってくれているんですよ。それを見て、続きを描こうかなと思えたんです。だから、ふたりがどうなるかは全然決まってはいません(笑)。ただ「こういう関係性だったらいいな」というイメージはあるので、それをただ描いていこうかなと。

――「少年ジャンプ+」の連載争奪ランキングにも本作でエントリーされていますが、こちらの意気込みも聞かせてください。

彩島:もともとpixiv向けに描いていたので、読んでもらえるか不安なところもありましたが、今はやれるところまでやろうと思っています。自分が憧れだった媒体でもありますし、自分の作品が載ること自体が嬉しいですね。

ただ、やっぱり私は連載をやりたいんですよ。そこで私の「好き」が多くの人の「好き」に刺さるような作品を描いていければ幸せです。

(取材・文=小池直也)

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