〈今なら言える 生まれてきて良かった〉Kiroro玉城千春が新曲『あの人の声』 児童養護施設の子と作詞「歩んだ道のり肯定できるお守りのような曲に」

コロナ禍での楽曲制作を振り返る玉城千春=5日、沖縄タイムス社

 沖縄県出身女性デュオ「Kiroro」ボーカルの玉城千春が1月、デジタルシングル曲「あの人の声」を配信リリースした。南城市の児童養護施設「島添の丘」の子どもたちと一緒に考えた詞にメロディーを付けた。2020年からのコロナ禍で、玉城が県内の児童・生徒と作った曲の第3弾。「子どもたちにとって、自分自身や歩んできた道のりを肯定できるような、お守りになるような楽曲になればうれしい」と願いを込めた。

 21年3月、島添の丘を卒園する高校3年生8人の壮行会のために制作。同施設で働く友人から「コロナ禍でさまざまなことが制限された中、特別な歌で子どもたちを送り出したい」と依頼され、2週間ほどで仕上げた。

 1番は子ども目線の歌詞。玉城が卒園生とオンラインでやりとりし、〈今なら言える 生まれてきて良かった〉などの言葉を引き出した。一方で2番は当初、職員らの気持ちを玉城が想像して作詞した。

 職員の直接の声ではないため2番がしっくりいかず、公開配信できずにいたが、琉球放送(RBC)が行うチャリティー事業のキャンペーンソング起用のオファーを受けたのをきっかけに、改めて同施設を訪問。職員から子どもたちへの思いや葛藤を聞き取った。書き直した歌詞には〈本気でぶつかり合って 一緒に悩んだあなたを今も これからも信じている〉などが盛り込まれた。

 アレンジはBEGINの島袋優が手がけ、曲の終盤では同施設の子どもたちや職員がコーラスに加わっている。 玉城はコロナ禍で、読谷中の生徒と校内に立つ桜の木にまつわる「命の樹」を、沖縄アミークスインターナショナル中の生徒と平和の大切さを歌う「Hope Dream Future」をそれぞれ制作。「さまざまな場所に出向き、とことん楽曲に向き合えた時間だった。先が見えず、大人も不安で迷う状況だけど、子どもたちには自分を信じて進んでほしいというエールを送りたい」と語った。

 「あの人の声」は音楽ストリーミングやダウンロードサービスで配信中。(デジタル編集部・新垣綾子)

「あの人の声」のジャケット写真。島添の丘の外観をイラストにしている=ビクターエンタテインメント提供

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