国内企業物価1月は前年比プラス0.2%、価格転嫁の影響緩やかに=日銀

Kentaro Sugiyama

[東京 13日 ロイター] - 日銀が13日発表した1月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比0.2%の上昇だった。35カ月連続のプラスとなったが、コスト上昇分の価格転嫁の影響は緩やかになってきた。

ロイターがまとめた予測中央値は前年比0.1%の上昇だった。伸び率は2022年12月に10.6%を付けてから縮小傾向で、21年2月(マイナス0.9%)以来の低い水準となっている。

前年比で最も押し上げに寄与したのは飲食料品で、原材料や包装資材、エネルギーなどのコスト上昇を転嫁する動きが見られた。輸送用機器も鋼板や部品、物流費などのコスト上昇分を転嫁する動きが出ていた。

一方、電力・都市ガス・水道は前年比27.7%下落し、前年比の押し下げ方向に影響した。燃料費の下落と、政府の電気・ガス価格激変緩和対策事業による値引きが反映された。このほか鉄鋼や木材・木製品もマイナス寄与となった。

全515品目中、前年比で上昇したのは406品目、下落は90品目。差し引きで316品目となった。

日銀の担当者は「一部の財が前年比マイナスとなる中で、ほかの多くの財は薄いプラスを続けている」と説明。その上で、国際商品市況の動向、為替変動を受けた輸入物価の動向、コスト変動分の価格反映も含めた企業の価格設定行動などを引き続き注視していくとした。

大和証券の末広徹チーフエコノミストは、企業物価指数については当面横ばい圏の推移を見込む。その上で、日銀の金融政策正常化が意識されて円高が進む場合、インフレ圧力が弱くなる一方、緩和維持姿勢を強調し過ぎれば、円安によるコストプッシュ型のインフレ圧力によって家計の不満が増える、と指摘。日銀も金融政策の判断について慎重な舵取りが予想されるという。

23年12月は前年比横ばいから0.2%の上昇に改定された。

*日銀の発表資料は以下のURLでご覧になれます。

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