欧米の投資銀行、アジアで人員削減拡大へ 収益圧迫で

Kane Wu Selena Li

[香港 9日 ロイター] - 欧米の投資銀行は今年、アジアで人員削減を拡大する見通しだ。中国の経済および市場の混乱が深まるのに伴い、収益が一段と圧迫されるためだ。人材会社や銀行の関係者が語った。

関係者の話では、アジアにおける投資銀行の主要拠点である香港と中国本土で昨年終盤に始まった人員削減の新たな動きは、向こう数カ月にわたって加速すると考えられている。

米投資銀行ラザードは先月、北京事務所を閉鎖することを社内で発表した。その結果、解雇される従業員や香港に転勤になる従業員がいるという。

欧州の投資銀行ロスチャイルドは昨年第4・四半期に上海を拠点とするチームを解散。バンク・オブ・アメリカは先月、アジアで人員を20人余り削減すると発表した。

中国の株式相場は約5年ぶりの安値近辺に低迷している上、新型コロナウイルスのパンデミックからの回復は予想よりも弱く、投資家の懸念を強めるとともに企業の国内需要見通しを悪化させている。

人材会社ハドソンの大中華圏バイスプレジデント兼香港部門責任者、シド・シバル氏は「仮にディールの動向が2023年の(低調な)状態のまま推移すれば、市場は一段の人員削減を予想することになる可能性がある」と述べた。

スイスのUBSはクレディスイス買収により膨らんだ中国部門の人員を数カ月以内に削減することを計画しているという。

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