ユーロ圏銀行、リスク環境の変化に対応を=ECB新銀行監督委員長

[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のクラウディア・ブーフ新銀行監督委員長は12日、就任後初の講演で、ユーロ圏の銀行を取り巻くリスク環境が一変したため、業務のやり方を見直す必要が生じていると指摘した。

金利の急上昇や地政学的リスクの高まり、預金移動の加速、サイバー攻撃の増加、気候変動リスクといった要因全てが銀行業務の基本的性質を変えており、銀行側は十分な備えがない可能性があると語った。変化の多くが一時的ではなく、構造的なものとの見方も示した。

ECBによる記録的な利上げペースなど環境の変化はすでに企業の重荷となっており、資産の質が悪化し始めていることが明確に示されているとした。

しかし、新たなリスクが銀行のリスク管理プロセスに十分に組み込まれず、不完全な情報に基づき意思決定を行っている可能性があると指摘した。

ECBはコンプライアンス審査を再実施しており、新規リスクに対して銀行がベストプラクティスを堅持することを期待しているとした。審査ではバッファーだけでなく、ガバナンス(企業統治)と長期的な考え方を精査するとした。

審査で指摘された事項への対応と不備の是正を銀行側に求める際に、制裁など強制的措置を講じる可能性にも言及した。

© ロイター