クロスハンドでアプローチの利点は? 実践するPGAツアー選手に聞いた

クロスハンドでアプローチ練習をするウィル・ゴードン(撮影/田辺安啓(JJ))

「WMフェニックスオープン」の会場で練習場を眺めていると、ふと違和感を覚えた。その感覚は、ショートゲームエリアで10ydほどのアプローチ練習をしているキャロウェイ契約の選手から発せられたもの。よくよく観察してみると、グリップする左右の手が通常とは逆の“クロスハンドグリップ”で打っている。キャディバッグの名前を確認すると、ウィル・ゴードンという選手だった。

クロスハンドグリップでアプローチ(テークバック)(撮影/田辺安啓(JJ))

ジョージア州在住の27歳。ツアー優勝はまだないが、昨年のフェデックスカップランキングは98位でシードを得ている。2019年ごろからQT、下部ツアーを経て徐々に力をつけてPGAツアーに這い上がってきた選手だ。

クロスハンド(右)とノーマル(左)。クロスハンドはオーバーラッピングで握る(撮影/田辺安啓(JJ))

「これまでにずっとアプローチショットに課題がありました。ノーマルグリップだとインパクトゾーンで手首を返しすぎてロフト角が変わり、うまく打てないという悩みがあったんです。昨年9月、コーチから『リバースグリップを試してみては?』とアドバイスされたことがきっかけで試してみると、意外にうまくいきました。試行錯誤の結果、だいたい35yd以内で短く刈ったライからはリバースグリップで打っています。バンカーショットやラフからのショットはノーマルグリップです」

バンカーショットはノーマルグリップ(撮影/田辺安啓(JJ))

PGAツアーでは、過去にはクリス・カウチという選手が100yd以内のショットをリバースグリップで打つというスタイルで、ツアー優勝も挙げている。アプローチに限って言えば、2022年「全米オープン」で優勝したマシュー・フィッツパトリック(イングランド)もリバースグリップを採用していた。

アプローチでトップやざっくりに悩むアマチュアも、試してみる価値はありそうだ。(JJ田辺カメラマン)

使い分けの目安は35yd(撮影/田辺安啓(JJ))

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