婚活の手段で急成長「マッチングアプリ」と「結婚相談所」、使うならどっち? 婚活経験者は語る

帝国データバンクは2024年2月6日、2023年の結婚相談所の倒産・休廃業・解散件数が過去最高を更新したと発表した。倒産と休廃業・解散が11件ずつで計22件と数は多くないが、2016年の15件、2011年の17件を上回っている。

理由のひとつとされているのが「マッチング(婚活)アプリ」の定着だ。

明治安田生命が2023年10月に実施した調査では、1年以内に結婚した夫婦の25.0%がマッチングアプリで出会ったと答えており、職場の同僚(25.0%)や友人・知人の紹介(13.5%)を上回る出会いの手段に成長している。

そんなマッチングアプリだが、使うのに向いた人、向かない人はいるのだろうか。婚活経験者に話を聞いた。

紹介所のマダムのおかげで「消去法で出会えた」

この調査結果を見て、結婚相談所の紹介で夫と出会った4日後に交際0日で結婚したAさんは「私にはマッチングアプリは無理だったし、たぶん夫もそうだと思う」と振り返る。

「私は学生時代に父を亡くしているので、家柄も就職先もちゃんとしていて、安定的に稼いで私と母を守ってくれる人と結婚したかった。20代で恋愛をしたけど、結婚は生活であって、それとは別。夫は6歳上で30代半ばにして髪の毛がかなり薄かったけど、気になりませんでした(笑)」

難関大学を出て有名大企業に勤める夫は、仕事もできて「問題のない人」だったが、女性には奥手で交際歴がなかった。結婚相談所では「若くて美人なら誰でもいい」と言い放ったという。すると、金遣いの荒そうな派手な女性を紹介され、断ると、紹介所のマダムに「誰でもいいって言ったじゃないの!」と叱られたそうだ。

「夫はそこで初めて『こういう女性では絶対に困ります』というネガティブな条件に初めて気づいたそうです。紹介所のマダムは、優柔不断な夫に気づきを与えるために、最初にそういう女性に会わせてくれたのかもしれません。結局、消去法で私が紹介されたんですけど(笑)、いまでは子どもにも恵まれて幸せに暮らしています」

Aさんは、こう話す。

「望みが高い人こそ『自然な出会い』に早めに見切りをつけた方がいい。結婚相談所には相手に困ってから30過ぎて入るんじゃなくて、20代の若いうちに入るのがおすすめですよ」

アプリで婚約「病気だからって諦める必要はない」

一方、アプリならではの使い方で交際に至った人もいる。

首都圏近郊に住む30代前半男性のBさんは、昨年都内在住の20代後半女性とマッチングアプリで知り合い、交際1年で婚約を決めた。

「一時期、メンタル系がやられてしまったことがあって、結婚は無理かなと諦めていたんです。でも、コロナ禍で孤独を募らせて思い切ってアプリに登録してみたんです。そうしたら、同じ病気に悩んでいる女性がいて」

オンラインで症状を打ち明け合ったり悩みを相談したりしながら距離を縮め、実際に会うようになってからは双方の通院に付き添うなどして、お互いの症状を理解し合ったという。

「持病のある人たちって普通の恋愛市場から外されているし、実際よほど症状に理解のある人じゃないと付き合うのは難しい。でも、アプリなら同病の人や病気に理解のある人に出会いやすいし、交際が深まる前にメッセージで早めに病気のことを打ち明けられる」

Bさんは「病気だからってパートナーを諦める必要はないけど、私の場合、アプリがなかったら難しかった」と振り返る。結婚相談所のように、お互いの「よいところ」をマッチングするのではなく、早めに「弱いところ」をオープンにした方がいいと勧めてくれた。

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