60代からのおしゃれは「バランス」が命!〈ファッションセンス〉が確実に上がる超簡単な「習慣」とは【スタイリストが伝授】

(※写真はイメージです/PIXTA)

纏うだけで気分を上げてくれる「ファッション」は、女性にとって「魔法」のようなものですが、歳を重ねるうちに若いころと同じものを着ても、なんだか少し違和感を感じることも。「60代からのおしゃれはトレンドより、気になるところをカバーするノウハウが大事」とグッドエイジスタイリストの花本幸枝氏は言います。花本氏の著書『今日からもっと自由に楽しく 60歳からの着こなし』より、着こなしがワンランクアップするテクニックを紹介します。

「センス」=その人がいちばん輝けるスタイル

多くの方から、「センスはどうやったら磨けますか?」と聞かれます。もしかするとみなさんも、「センスの良さは特別なもので、生まれつきや環境では?」と思われているかもしれませんが、「センスは、誰でも確実に上げること」ができます。

私が考えるセンスとは、その人がいちばん輝けるスタイルです。その人の好きなもの、似合うもの、大事にしていることがベースになりますから、人それぞれなのです。

センスは「知識×経験」でアップする

「知識」とは、何色が流行っているとか、どんなデザインが今年らしいかというトレンド情報ではなく、「この年齢だからこその、着こなしのルール」です。

トレンドは、40代くらいまでならとても効果的ですが、私たち世代になると、むしろ老いを強調させてしまう場合があります。それよりも大事なのは、「気になるところをカバーするノウハウ」ではないでしょうか。

年齢と共に、いろんな悩みが出てきます。顔がくすんできてなんとなく疲れたように見えるとか、お肉のつく場所が変わって、何を着てもスッキリ見えないとか。これをカバーしながら素敵に見せる知識が、いちばん大事です。

それには、「目の錯覚」を利用し、「メリット、デメリットを天秤にかける」ことをおすすめします

顔を小さく見せたくて、タイトなヘアスタイルにすると、逆に顔が目立って大きく見えます。パーマでボリュームを出して多少頭が大きく見えても、顎をスッキリとさせると痩せて見えます。黒を着て引き締まって見せるのと、レフ板効果の高い白を着て顔映りを明るく見せるのと、どちらが今のご自分に効果的かを比べてみる、とかです。

これこそが、若いころとは違うルールです。

次に、「経験」についてお話しします。

いろんな洋服を、たくさん着ましょう! 買わなくても良いんです。とりあえず、試着をしてみてください。みなさん、自分に似合うものを決めつけていませんか? たとえば、細く見せるために黒しか着ないとか、スキニーパンツにチュニックを合わせて腰回りをカバーして痩せて見せるとか……。

確かにそれが素敵に見える時代もありましたが、ファッションも私たちも、年と共に変化していきます。今までお気に入りだったコーデが、急に似合わなくなることは、誰もが経験しますよね。

若いころは袖も通さなかったデザインも、しっくりと似合うようになることもあります。そこがファッションの面白いところです。

試着室に入って着替えるのは、ちょっと面倒かもしれませんが、それを重ねることで、確実に経験が増えてセンスアップしますから、その価値は十分あります!

おしゃれに見えるかどうかは「バランス」次第

センスアップするいちばんの方法は、全身が映る鏡の前から、1.5メートル離れて、客観的に全体のバランスを見る! おしゃれかどうかは、「バランス」で決まります。これが、何よりいちばん大事です。

「バランスなんて、どうやって判断するのかわからないわ」と思われるかもしれませんが、要は鏡から離れて全身を見て、違和感がなければOKです。居心地の悪さを感じる時は、もう一度コーディネートを見直しましょう。鏡を見た瞬間に、「好き!」と思えば、それがあなたに似合うスタイルです。

もっとご自分の直感に、自信を持ってください。「好きなものが似合うとは限らない」とみなさんいわれます。でもね、鏡を見て「好き!」と思う気持ちは正解です! この「好き」から始めることが、自分スタイルを見つけるコツです。好きだけど、どうもしっくりこない時は、セオリーに当てはまっていないのかもしれません。少しずつ修正していくことで、バランスの落としどころを探しましょう。

洋服を決める場合は、メイクをして、靴とバッグ、アクセサリーをつけて、全身が映る鏡の前から、1.5メートル離れて見てください!

「全身を見る」とは人の目線で自分を客観的に見ることです。頭の先から足の先までは、ひと目で見えないと、バランスはわかりません。

不思議なことに、小さなイヤリングひとつでも、見え方が大きく変わります。アクセサリーやメガネは、上半身が見える鏡で合わせがちですが、アクセントとなるものだからこそ、全身が見える鏡で確認したほうが似合うものがわかります。たとえばメガネも、顔だけが映る鏡で見ると派手すぎると思ったフレームが、全身を見ると個性的で似合っていることはよくあります。

一つひとつをどう選ぶかも大事ですが、全体でどうバランスを取るかを確認することがセンスアップの肝です。

カラーバランスにしてもそう。スカーフ一枚でも、何色を合わせるかで印象は随分変わりますよね。できれば色を正しく確認するために、自然光で見てください。思っている以上に、室内で見る色と屋外で見る色は違いますよ。

こうやって全身を客観的に見ることで、どんどんセンスが上がっていきます。簡単でしょ?

人のことはよくわかるけれど、自分のことは意外とわからないものです。離れて全身を見ることで、他人の目線に近くなり、足りないところ、やりすぎているところが見えてきます。自分らしくおしゃれを楽しむには、どう見えているかを、きちんと知っておくことが大事ですね。

鏡から、1.5メートル離れて、全身のバランスを見る癖をつけてください。

これを毎日続けていると、確実におしゃれの完成度が上がります。

花本幸枝
グッドエイジスタイリスト

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