“世界一の投資家”ウォーレン・バフェットが身内に伝えた「自分が亡くなった後の投資先」とは

(※写真はイメージです/PIXTA)

「60歳で完全引退」が難しい日本。老後資金を少しでも増やそうと、50代や60代になって投資をはじめるという人も少なくありません。しかし、いざはじめようとしても、いったいなにに投資すればいいのか……そんな悩みを抱えている人へ、『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)著者の大杉潤氏が実際に投資している“一押しの銘柄”を紹介します。詳しくみていきましょう。

筆者の“一押し”は「S&P500」に連動するインデックス投信

私が一押しで勧める外貨建てインデックス投信は米国株の指数に連動する投信です。ニューヨークダウやNASDAQも有名な米国株指数ですが、私がいいと思う指数はアメリカの代表的な大手企業500社からなる「S&P500」という米国株指数に連動する投資信託です。

ただし、ここは意見が分かれます。

「長期・分散・積立」という3原則の中で、「分散」の面で、米国株500銘柄に集中させてはリスクが高いのではないかという意見です。こちらの方が多数派かもしれません。

たとえば、ヨーロッパ株や日本株を含めた「先進国株式」のインデックス投信もあります。人気があるのは、中国やインドなど新興国の株式指数も含めた世界株式インデックスという投信。

「黙って世界の株式指数に投資しておけば最も分散してリスクがない」という意見です。一理あります。

では、なぜ私は世界株式インデックスではなく、米国株S&P500に集中させることを勧めるのか? 簡単にいうと、「ブランデーやカルピスをわざわざ薄めて飲むのですか?」ということです。

株式市場は米国の影響が大きすぎて「分散」にならない?

米国株が下がる時は、日本株もヨーロッパ株も新興国の株もみんな下がります。世界中の株が下がる。アメリカが風邪をひけば、日本もヨーロッパも新興国もみんな風邪をひく。アメリカは風邪で済んだとしても、日本は肺炎になったり、ヨーロッパは長期入院になったり、新興国なんて死んでしまうかもしれません。分散になりません。

逆はどうでしょう。アメリカ株は好調なのに、日本株だけ下がる、ヨーロッパ株だけ下がる、新興国株だけ下がる。これは頻繁に起こっていませんか? 日本株なんてここ30年、ずっとそうだったでしょう。そんなパフォーマンスの悪い株をわざわざ入れて分散させる意味はありますか、ということです。

米国株は薄めないで、原液のまま飲んだ方がパフォーマンスを落とさなくて済みます。世界最大の経済規模、消費市場、軍事力、技術力を持つアメリカ経済や米国株式はこれから、少なくとも私が生きている30年くらいは、この地位が揺らぐことはないでしょう。

「中国経済は成長している」は本当か

中国経済が成長しているという人がいるかもしれませんが、中国はこれから人口が激減し、日本以上に高齢化が加速していきます。中国は世界で初めて、先進国になる前に高齢化が始まった国です。

中国の各種統計は信頼性に疑問があり、「もう人口も減っているし、経済成長率もマイナスになっているのでは」と言う人もいるくらいです。

“世界No.1の投資家”は筆者と同じ考えだった?

私の考えた理由と同じかどうかはわかりませんが、まったく同じように「これからの投資は米国株S&P500インデックス投信に資金の9割を投資せよ」と言っている人がいます。世界一のパフォーマンスを上げ続けている投資家・ウォーレン・バフェット氏です。

彼は、割安に放置されている優良株に集中投資して長期で保有し続けることで、世界No.1の投資家になりました。コカ・コーラやジレット(現在は、P&Gが買収)のようなブランド価値が高く長期にわたって消費者に支持され続ける優良な企業の株を割安になったタイミングで買って持ち続ける投資法です。

最近では、アップル株への投資で大きく資産を増やしました。数年前に日本の総合商社の株を大量に買ったことを発表して私も驚きましたが、そのタイミングから商社株は3倍近くになっています。

実は、バフェット氏の投資に乗っかって、トップの三菱商事株を買おうとして指値を入れたのですが、2,500円より少し高いところまでしか下がらず、指値が10円高くて買いそびれてしまいました。三菱商事はその後、株価が7,000円を超えて約3倍になっています(2023年9月1日現在)。

わずかな金額をケチってはダメだという教訓と、やはりバフェット氏は92歳になってもその読みは衰えていないと思い知りました。バフェット氏が亡くなった後の投資先として、遺族となる身内に残した遺言が、「投資資金の9割は米国株S&P500インデックス投信に投資せよ」なのです。

では、具体的に私の投資ポートフォリオがどうなっているかですが、投資資金の9割を米国株S&P500インデックス投信にしています。ただし、1社の投信に集中させているのではなく、手数料の引き下げ競争をして手数料を最安値近辺に設定している4社の投信に分散させています。具体的には次の4銘柄です。

筆者が投資している4銘柄を紹介

1|eMAXISSlim米国株S&P500……信託報酬率0.09372%

2|SBI・V・S&P500インデックス……信託報酬率0.0938%

3|ニッセイ外国株式インデックス・ファンド……信託報酬率0.09889%

4|楽天・全米株式インデックス・ファンド……信託報酬率0.132%

この4本の投信は、買う時の手数料がゼロ(ノーロード投信と言います)で、換金する時の手数料もゼロ。保有期間中にかかる手数料のみで、これを信託報酬率と言います。右に表示した信託報酬率は、2023年8月28日時点の料率で、これは時々変更されます。

ニッセイ外国株式インデックス・ファンドと楽天・全米株式インデックス・ファンドは、厳密には米国S&P500以外の銘柄も入っているファンドですが、手数料が低いので注目して投資しています。

この4社は手数料の引き下げ競争をしていて、どこがいちばん低い手数料になるか、時々刻々変動するため、私は4社に分散して投資しています。

財産額という数字で比較すると、どの投資信託が多くの投資資金を集めているかがわかります。その動きも人気のバロメーターなのでチェックしておいた方がいいでしょう。

今のところ、「eMAXISSlim米国株S&P500」がいちばん人気で、三菱UFJ国際投信のeMAXISSlimシリーズの投資信託が「手数料最安値宣言」をしているので、私は注目していて、最も多くの投資資金を配分しています。

この4本が私のお勧めですが、投資は自己責任でお願いします。

そのほか、私は「先進国株式インデックス」「世界株式インデックス」「新興国株式インデックス」「8資産均等型投信」などを少しずつ積立で買っています。

「8資産均等型投信」というのは日本、先進国、新興国のそれぞれ、株式・債券・不動産(リート、新興国はなし)に均等に分散して投資する投資信託です。最もおいしい米国株を薄めまくっている投信なので私はお勧めしませんが、強く推奨するプロがいるので、勉強とチェックのため少しだけ買っています。

結果はやはり米国株S&P500投信に比べ、かなりパフォーマンスが落ちる実績となっています。

大杉 潤
経営コンサルタント/ビジネス書作家/研修講師

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン