「無断横断」した歩行者をひいたバス運転手が「無罪」=韓国

「無断横断」した歩行者をひいたバス運転手が「無罪」=韓国

韓国で、両側8車線の道路で無断横断した歩行者をバスでひき、死に至らしめた70代の男性運転手に「無罪」が宣告された。

12日、インチョン(仁川)地裁の判事は、交通事故処理特例法上の致死容疑で起訴されたA(70歳)に無罪を宣告した。

容疑者Aは当時、両側8車線の道路を時速51~53キロでバスを運転していた。

そこに歩行者B氏(42歳)は、横断歩道が赤信号であるにもかかわらず道路を無断横断した。B氏は走行していたバスに衝突し、病院に移送されたが亡くなった。

検察は、容疑者Aが前方左右をみるべき義務を怠ったため、業務上注意義務を違反したものと判断し、容疑者Aを交通事故処理特例法上致死容疑で裁判を求めた。

しかし裁判部は「容疑者Aは時速50キロの道路を時速51~53.1キロの速度で運転し前方を注視し続けていた点、容疑者Aが無断横断したB氏を認知した時点がバスの制動距離内にあった点などを根拠に、嫌疑がない」と判断した。

裁判所は道路交通公社に「事故当時の状況を基に、バスが人を発見し停止することのできる制動距離を分析してほしい」と依頼した。道路交通公社は「当時の状況でバスが人を発見した後、すぐさま停止できる距離を33.3メートル」と判断した。しかし、容疑者AがB氏を発見した当時の距離は22.9メートルにすぎなかった。

裁判部は「当時の走行速度による停止距離は33.3メートルであるため、制動による事故回避の可能性は低い」とし「容疑者Aが、無断横断をした人がいることを予見することも困難だった」として無罪を宣告した。

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