2月のイベントはさまざまありますが、バレンタインデーも注目度の高いイベントの一つです。
近年は家族や友だち同士でチョコを贈り合う人が増えており、「子どもと一緒にチョコレートスイーツを作るつもり」というご家庭も多いかもしれません。
子どもから大人までを魅了するチョコレートは、カカオ豆から作られたもの。
その歴史は5000年以上といわれるほど古く、かつてはお金と等しい価値がありました。
この記事では、チョコレートの起源や健康上のメリット、種類、さらには保管方法について詳しくご紹介します。
チョコレートの歴史
スーパーやコンビニに行けば、気軽に手に入れられるチョコレート。
その昔は、非常に貴重な飲物&食べ物でした。
ここからは、チョコレートの歴史を見ていきましょう。
発祥はメソアメリカ地域
チョコレートの原材料であるカカオ豆は、今から約5000年前のエクアドルで食べられていたといいます。
食物用として栽培され始めたのは紀元前2000年ごろからで、現在のメキシコやグアテマラ・エルサルバドルなどを含む「メソアメリカ」地域で広く栽培されていました。
※画像参照元:wikimedia commons
メソアメリカ地域には「オルメカ」「マヤ」「アステカ」といった豊かな文明が発展したのはご存知ですよね。
いずれの時代も、カカオ豆は非常に重要な食物でした。
例えばアステカ王国では、カカオ豆は神秘的な力を持つ飲み物として大切にされたそうです。
儀式や薬に使われたのはもちろん、カカオ豆には貨幣としての価値もあったのだとか。
皇帝や上流貴族達は、特別な日にはスパイスなどをたっぷりと加えたチョコレートドリンクを飲むのが習わしでした。
スペイン人の統治によりカカオが庶民のものに
16世紀になるとアステカ王国はスペインによって滅ぼされ、スペインがアステカ王国一帯を支配することとなります。
これを機に、これまで上流階級だけが口にできたチョコレートが広く一般庶民にも愛飲されるようになりました。
アステカ王国のチョコレートはどちらかというと「薬」のような飲み物で、甘味は加えられていなかったそう。
現在のように砂糖を入れて甘いチョコレートを楽しむようになったのは、スペイン統治時代以降なのだそうです。
参考:チョコレートの歴史を解説!世界や日本でチョコレートはどのように広まったのか? | 基礎知識 | Hello, Chocolate | 株式会社 明治 – Meiji Co., Ltd.
参考:チョコレートの始まり(メソアメリカ文明) | 日本チョコレート・ココア協会
日本で口にできるようになったのは18世紀ごろ
チョコレートはスペイン本国に持ち帰られ、ヨーロッパ全土に普及します。
日本には、江戸時代の長崎に初上陸したという記録がありました。
当時の長崎は、日本の貿易の窓口として多種多様な外国文化が入ってきた場所です。
チョコレートも例外ではなく、オランダから持ち込まれたようです。
とはいえこれをきっかけにチョコレートが全国に……というわけにはいきません。
日本では明治時代(1868~1912年)から製造が始まるものの、高級品でした。
広く一般にまでチョコレートが普及し始めたのは、大正時代(1912~1926)に入ってからです。
その後、第二次世界大戦の影響でカカオ豆が手に入らなくなり製造がストップするものの、1950年からはカカオ豆の輸入が解禁され、再び製造されはじめました。
今では様々な種類のチョコレートが販売されて多くの人に愛され続けています。
チョコレートで健康に! 成分や注意点をチェック
「チョコレートは健康によい」などといわれますが、どのようなチョコレートでもよいわけではありません。
高い健康効果が期待できるのは、カカオ含有量の多い「高カカオチョコレート」です。
高カカオ(カカオ60~70%以上)チョコレートの健康効果について見ていきましょう。
チョコレートに含まれる成分
チョコレートには、以下の成分が含まれています。
- カカオポリフェノール
- テオブロミン
- タンパク質
- 食物繊維
- 糖質
- 脂質
- ミネラル類
このうち、特に注目されるのがカカオポリフェノールです。
カカオポリフェノールは抗酸化力が強く、ココア1杯あたりの抗酸化力は「緑茶の約2~3倍」「紅茶の4~5倍」に匹敵するといわれています。
カカオポリフェノールを適度に摂取することにより、「血圧低下」「心筋梗塞のリスク低下」「脳卒中のリスク低下」を期待できるのだそうです。
このほかカカオポリフェノールは、ストレスの緩和効果も期待できるとのこと。
日常でストレスを抱えがちな方は、ぜひ高カカオチョコレートを摂りましょう。
イライラしたときに口にすると、ストレス反応を抑制してくれる効果が期待できるそうです。
参考:チョコレート・ココア健康講座 | 日本チョコレート・ココア協会
参考:Q20 チョコレート・ココアに「抗ストレス効果」はありますか? | チョコレート・ココア健康講座 | 日本チョコレート・ココア協会
参考:チョコレートの健康効果は?チョコレートと血圧やダイエット・ストレスとの関係について | ひまわり医院(内科・皮膚科)
チョコレートの健康効果を実感するために気を付けたいこと
「おいしい上に健康効果も期待できるなら、たくさん食べよう」……、大好きなチョコレートを食べて健康になれるなんて、うれしいですよね!
しかしむやみやたらにチョコレートを口にするのはおすすめできません。
チョコレートによる健康効果を期待するなら、1日20~25g程度(※)を目安としましょう。
※医薬品や医師による処方ではないため、推奨量は定まっていません。チョコレートと健康に関する各種論文でも目安量は異なっています。
チョコレートの食べすぎで気になるのは、体重増加や虫歯です。
砂糖がたっぷり入ったチョコレートなら、血糖値の上昇も気になります。
1日に食べるチョコレートは「板チョコ半分くらい」がおすすめともいわれています。
またチョコレートに含まれるカフェインも摂取しすぎは好ましくありません。
特に高カカオのものはカフェイン含有量が多く、食べすぎると不眠につながるおそれもあります。
不眠症の方やカフェインを控えた方がよい妊婦さん・授乳中の方は、特にチョコレートの食べすぎには注意が必要です。
犬・猫にはチョコレートを与えないこと!
「おいしいからペットにもチョコレートを……」は絶対に止めましょう。
犬や猫がチョコレートを食べると、中毒症状を発するリスクがあります。
犬や猫にとって危険なのが、「テオブロミン」と「カフェイン」です。
人間にとっては何の影響もない量でも、体が小さく代謝能力の低い犬・猫には毒となります。
テオブロミンやカフェインが体内に残り、中毒症状が出やすいのです。
万が一ペットがチョコレートを口にした場合は、すぐに動物病院に相談しましょう。
症状がひどい場合は食べたチョコレートを持って、動物病院に向かってください。
どのようなチョコレートを食べたかで、治療方法は異なります。
一般に、テオブロミンやカフェインを多く含む高カカオのチョコレートほど、危険度は高めです。
参考:犬や猫にチョコをあげてもいいの? | 埼玉の動物病院 | 埼玉動物医療センター
チョコレートの味は「カカオ豆」で異なる!
カカオ豆とは、カカオの実の中にある種のことです。
産地は主に西アフリカ、東南アジア、中南米で、年間平均気温27℃以上の高温多湿な場所でしか育ちません。
ここからは、チョコレートの味を決定する「カカオ豆」について見ていきましょう。
参考:カカオ豆の原産地はどこ?品種別の特徴、収穫からチョコレートになるまでを紹介 | 基礎知識 | Hello, Chocolate | 株式会社 明治 – Meiji Co., Ltd.
カカオ豆の種類による違い
カカオ豆の品種はさまざまありますが、大元をたどると以下の3つに分類されます。
▼クリオロ種(CRIOLLO)
栽培地:メキシコやベネズエラなど限定的
味わい:渋みが少なくマイルド。ナッツのような味わい
メソアメリカ地域にて長く栽培されていた品種です。
病虫害に弱く、繁殖が難しい種として知られています。
現在ではごく一部の地域でのみ栽培されており、カカオ豆の最高品種といわれることも少なくありません。
▼フォラステロ種(FORASTERO)
栽培地:東南アジアやアフリカなど
味わい:渋みが強め
現在、世界中で最も多く流通している品種です。
病虫害に強く栽培しやすいため、さまざまな地域で栽培されています。
味は渋み・苦みが強めですが、カカオ感をしっかりと感じられるのが魅力。
チョコレートのベースとして多く使われます。
▼トリニタリオ種(TRINITARIO)
栽培地:ベネズエラなどの南米地域
味わい:酸味とフルーティーさを合わせ持つ
クリオロ種とフォラステロ種のハイブリッドとして生まれた種です。
栽培が容易なことから、多くの地域に広まりました。
味わいは渋みの中にもフルーティーさがあって、非常に良質です。
カカオ豆の産地による違い
カカオ豆が栽培されているのは、赤道周辺の国々です。
同じ品種を栽培していても、産地によって味わいには個性があります。
- ガーナ:バランスの取れたスタンダードな味
- エクアドル:フローラルな香りと程よい酸味
- ベネズエラ:ナッツ感が強く香ばしい味わい
- コートジボワール:重厚感があり、苦味が少ない
日本のチョコレートの約8割は、ガーナ産です。
渋味・酸味・苦味がバランスよく調和したカカオは、日本人の好みによく合います。
一方ヨーロッパのチョコレートは、ズッシリとした重みのコートジボワール産のカカオが使われているそうです。
同じチョコレートでも、日本のものと海外のものではかなり味わいが異なります。
ちなみにカカオ豆は収穫される時には紫色です。
発酵などの過程を経て、チョコレートの色に変わっていきます。
これもあれもチョコレート。チョコレートの種類をチェック
一口にチョコレートといっても、種類はさまざま。
チョコレートのバリエーションを見ていきましょう。
参考:用語辞典チョコレート編 | 日本チョコレート・ココア協会
板チョコ
最もベーシックな、板状のチョコレート。
シンプルにチョコレートを楽しみたいときに最適です。
ホローチョコ
中身が空洞になっているチョコレート。
中にフィギュアなどが入っているチョコは、子どもたちも大好き!
ボンボン
一口サイズのチョコレートのこと。
中身のバラエティが豊かで、個性的なチョコレートがたくさんあります。
ドイツ語圏では「プラリネ」と呼ばれるそうです。
ジャンドゥーヤ
チョコレートにヘーゼルナッツやアーモンドを加えたチョコレート。
香ばしい味わいが魅力の、イタリア生まれのチョコレートです。
トリュフ
フランスの高級食材「トリュフ」に似せて作ったことからこのように呼ばれます。
中にガナッシュが入っているもの・ココアパウダーがかかっているものなど、種類はさまざま。
冷蔵庫保管がNGなワケ
チョコレートは一般的に28℃前後で溶け始めるといわれています。
また、15℃~22℃ぐらいが保存に適しているとのことで常温保存が好ましいのです。
しかしながら、夏場などは常温保存していると溶け始めてしまうことがあります。
そのため、冷蔵庫で保管しようと考える方も多いのではないでしょうか?
温度・湿度・光に弱いチョコレート
チョコレートは温度や湿度、光などの影響を受け品質が変化します。
溶けてしまうからとそのまま冷蔵庫で保管をすると、温度が低すぎて品質が劣化します。
また、冷気が直接あたることで水滴がついてしまうことも品質低下につながります。
そのほか、チョコレートは匂いを吸収しやすいため、冷蔵庫内にある他の食品の匂いを吸い込んでしまうのです。
おすすめの保管場所と方法
もし、夏場などチョコレートが溶けないように冷やして保存したい場合、冷蔵庫ではなく野菜室で保管するとよいです。
ご存知の方も多いかと思いますが、冷蔵庫よりも野菜室の方が温度が高めに設定されており、より常温に近い状態で保管できます。
また、光や匂い移りなどを防ぐためにアルミホイルで包み、さらにジップ付きの袋などに入れるとよいでしょう。
好みによりますが、チョコレートのくちどけを楽しみたい場合は、常温に戻してから食べるのがおすすめです。
まとめ
カカオ豆から作られるチョコレートは、紀元前から人類とともにありました。 その昔は上流階級のみに許された食べ物だったようですが、現在では気軽に手に入るのがうれしいですね! 疲れたときやストレスを感じたとき、甘いチョコレートが気分をほぐしてくれるかもしれません。 ただしどんなにおいしくても、食べすぎは禁物です。 健康によい食べ方を目指すなら、「もう少し食べたいな」という状態でやめておくことをおすすめします! 文/カワサキカオリ