二階堂ふみ『Eye Love You』にいまいち没入できないワケ…テレパス能力の設定がご都合主義すぎて

「ファンタジック・ラブストーリー」と銘打っておきながら、そのファンタジー要素が形骸化しているのが気になって仕方ない。

2月6日(火)に第3話まで放送されている二階堂ふみ主演『Eye Love You』(TBS系)のことである。

主人公・侑里(二階堂)は、チョコレートショップを立ち上げている社長だが、過去に海での事故がきっかけで、目が合った相手の心の声が聞こえてしまうテレパス能力を持っている。侑里は他人の本音が読めてしまうゆえに傷つくことが多く、恋愛から長らく遠ざかっていた。

そんな侑里が、年下の韓国人留学生・テオ(チェ・ジョンヒョプ)と偶然知り合うのだが、心の声が韓国語なので本音がわからないことが新鮮。そして、表に出す言葉や感情表現が超ストレートでピュアなテオに惹かれていたところ、自社のインターンとして入社してきたため、社内恋愛禁止のオフィスで秘密の恋がどうなっていくのか――というストーリー。

世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話5.5%、第2話6.3%、第3話6.1%と推移。とりあえずお試し視聴する人が多い初回を2、3話が越えているということは内容が好評な証拠である。

また、TVerのお気に入り登録者数が100万人を突破し、X(旧Twitter)で世界トレンド1位を獲得しており、まずまず好調と言えるだろう。

■中川大志の本心に気づいていないのはナゼ?

初回を観たとき、心の声が聞こえるが韓国語だから理解できないという設定は、ファンタジー要素と韓国人俳優の起用に、上手に意味づけができていて、お見事だと感じた。

しかし、テレパス能力の設定が曖昧というか、ご都合主義的になっていて、げんなりしてしまう。

その原因は、主に3番手キャストの中川大志演じる花岡の存在にある。花岡は大学時代に侑里と出会い、一緒に起業したビジネスパートナーで、会社では専務。仕事熱心ゆえに堅物なところもある不愛想なキャラだ。

この花岡、いわゆる “当て馬” ポジションで、侑里にひそかに恋心を抱いていることを匂わせるシーンが第2話ラストで挿入されていた。

恋愛ドラマにおいて、ヒロインを取り合うライバルキャラの当て馬が登場するのは王道ではあるものの、問題は侑里が花岡の気持ちにまったく気づいていなさそうなところ。

テレパス能力者が、長年一緒にいる相手の気持ちを知らないなんて、おかしくないか?

花岡が、自分でもまだ侑里への恋心に気づいていないとか、強い意思でふだんは恋心を押し殺しているとか、そういうエクスキューズ的な設定があるのだろう。

ただ、それにしても、学生時代からそばにいる相手の恋心が一度も読めていないのだとしたら、あまりにご都合主義的すぎる。作品の中核を担うファンタジー要素が形骸化している気がしてならない。

■一歩間違えればストーカーで訴えられる

話は変わるが、テオの言動にも引っかかることが多い。

簡単に言うと、一歩間違えればストーカーでは? と思えるような振る舞いだらけなのだ。

第2話では、路上で侑里を強引に抱き寄せて耳元で甘い言葉をささやき、第3話では過剰とも思えるほどLINEのメッセージを連投する。

侑里もテオに惹かれているからセーフなのだが、仮に女性側が恋愛感情を抱いていないとしたら、セクハラやストーカーだと訴えられても不思議ではないレベル。

平成時代の恋愛ドラマなら違和感なく観られたと思うが、ハラスメントへの意識が高まってアップデートされた令和の価値観で観ると、恋愛のドキドキ感ではなく、悪い意味でのハラハラ感の引っかかりが出てきてしまう。

テオは学生ではあるが、26歳の立派な大人である。好意的に解釈すればとてもピュアで少年のような心の持ち主だと思えるが、うがった見方をすると、言動が幼すぎるのではないかとも思えてしまう。

日本語をたどたどしくしゃべるので緩和されてはいるが、もしこのキャラが日本人だとしたら、“お子ちゃま” すぎるイタい男に見えてしまいそうだ。

――本作のウリであるテレパス設定やお相手キャラが気になっていまいち没入できないが、今夜放送の第4話以降で、そのあたりが改善されていくことを期待している。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』にて恋愛コラムを連載中。ほかに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

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