電気自動車が災害時の電源に 太陽光発電で充電 那覇電工、敷地内の休憩所も避難所に提供 沖縄・豊見城市与根区と協定

那覇電工が車庫に設置した太陽光パネルと電気自動車。「災害時には電源供給車となる」と説明する比嘉幸宏社長(右)と宮城淳也常務=2日、豊見城与根の同社

 沖縄県豊見城市与根の電気工事業・那覇電工(比嘉幸宏社長)はこのほど、同社の太陽光発電設備で充電した電気自動車(EV)を災害発生時の電源供給車とし、敷地内の休憩所を区民の避難所にする協定を与根自治会(大城滿会長)と結んだ。同社は「他の事業者も地元自治会と同様の協定を結べば地域防災にもつながる。点から面へ展開することになれば」と期待する。企業と自治会が結ぶ防災協定は同市では初めてとみられる。(南部報道部・又吉健次)

 海に面する人口1700人の与根区は海抜2~3メートルほどで、地震発生時には2~5メートルの津波に襲われる可能性がある。一時避難場所の市民体育館は沿岸部にあるため、「海に向かって避難」することへの抵抗感もある。県道256号から東方にある避難所の座安小学校は遠く、高齢者の避難先が課題だった。

 同社は同区の街灯工事を請け負うなど地域の悩みを聞いており、電気工事業者として地域貢献を模索。太陽光発電設備と防災を結び付け、地域の課題解決に取り組んだ。

 車庫の屋根に太陽光パネルを約50平方メートル置き、太陽光を電気に変換する機械、EV1台を755万円で1月までに購入。環境省からの補助金276万円も活用した。災害時には充電した車両を区や市が指示する場所に移動させる。蓄電量は40キロワットで空調なら80時間連続、スマートフォンなら100台以上が充電可能という。

 区民の一時避難所は、施設内にある倉庫の2階部分を使う。3.5メートルほどの高さにあり、広さは30畳で毛布や乾パンもある。

 昨年7月、同社と災害時支援協定を結んだ大城自治会長は「那覇電工のある場所は与根区の中心で、避難時間も移動距離も短縮できるのでありがたい。能登地震を見ても、停電時に電気を使えることに感謝している」と語った。

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