韓国企業のドル建て起債が記録的ペース、中国に代わる投資先として人気

Scott Murdoch

[シドニー 13日 ロイター] - 今年に入って韓国企業によるドル建て債発行が記録的なぺースで進んでいる。中国の新発債が減る中で、代わりに資金を振り向ける先を求める投資家の動きを利用し、資金調達を活発化させている形だ。

LSEGのデータによると、1月1日から足元までに韓国企業が発行したドル建て債は総額150億ドルと、前年同期を30%上回っている。例えばメモリー半導体生産世界第2位のSKハイニックスの起債は2つのトランシェに対して65億ドルの応募があり、結局15億ドルを調達した。

複数のバンカーは、韓国において1月は起債が多い時期だが、今年の発行ラッシュは想定を超えていると説明。各社は、韓国に対する投資家の見方が好意的になっている機をとらえているとの見方を示した。

2023年に金利上昇観測を受けていったん起債を棚上げした一部企業が、今後の資金ニーズを踏まえて計画を再開している面もある。

一方で中国のオフショア債は、主な発行体である不動産セクターがなお危機的状況に置かれ、中国経済自体もコロナ禍からの回復が鈍いことから、発行が急減している。

HSBCのアジア太平洋債券資本市場共同責任者を務めるダニエル・キム氏は、韓国のソブリン格付けは「AA」で、その他の発行体も「AA」ないし「BBB」の範囲にあると指摘。「多大な不確実性とマクロ面のノイズが存在する現在の市場環境において、韓国は多くの投資家にとって安全な投資先とみなされている」と述べた。

LSEGのデータによると、日本とオーストラリアを除くアジア太平洋地域で今年これまでに発行されたドル建て債の44%を韓国勢が占めた。

シティのアジア債券シンジケート責任者を務めるリシ・ジャラン氏は、記録的な滑り出しとなった今年の発行ペースは維持される可能性があるとの見方を示した。

バンク・オブ・アメリカの韓国資本市場責任者を務めるユン・スン・ワン氏は「韓国の電池セクターで成長が続き、多額の投資と資金調達が求められるだろう」と述べ、ドル建て債市場経由で調達される公算が大きいと付け加えた。

© ロイター