【フェブラリーS】混戦模様もキングズソードら東京大賞典組が上位か 参考レース振り返り

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

舞台は東京ダート1600m

今年最初のGⅠとして、東京競馬場ダート1600mを舞台に争われるフェブラリーS。昨年の優勝馬レモンポップ、ドバイワールドCを制したウシュバテソーロ、ブリーダーズCクラシック2着のデルマソトガケはいずれもサウジCへと矛先を向けた。そのため、やや寂しいメンバー構成となった印象だが、大混戦の様相で多くの馬にチャンスがあるともいえる。ここでは出走を予定している馬たちの主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返っていく。

なお、今年は【3-3-2-9】勝率17.6%、連対率35.3%、複勝率47.1%と相性が良いチャンピオンズCからの出走予定馬はいない。

根岸S【データ:A メンバーレベル:C】

過去10年の成績【4-2-3-49】勝率6.9%、連対率10.3%、複勝率15.5%

2023年の優勝馬レモンポップをはじめ、過去10年で最多の4勝と相性は良いが、出走頭数も多いため、好走率としては低調な成績となっている。

今年は内枠から飛び出したヘリオスが逃げ、前半600m通過は35.8というペースで流れた。道中5番手の外を追走していた1番人気のエンペラーワケアが残り200mで先頭に躍り出るとそのまま突き抜け、後続に2馬身半差をつけて1:24.1の走破時計で快勝した。

シャマル(かきつばた記念に出走の可能性あり)はさきたま杯が競走中止、プロキオンSは除外となって以来、久しぶりの出走。3番手追走から直線は徐々に外へと持ち出すも7着だった。

8着アルファマム(現時点では除外対象)は、道中13番手追走から上がり最速35.1の末脚で追い込むも0.9秒差で敗れた。初のマイル戦がどうかだが、瞬発力だけならここに入ってもトップクラスのものがある。

13着タガノビューティーは、スタートで出遅れて最後方を追走。直線は大外に持ち出すも、展開が向かず末脚不発に終わった。ただ近走は1400mだと忙しく、マイルへの距離延長は歓迎だ。

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東海S【データ:A メンバーレベル:C】

過去10年の成績【2-1-1-16】勝率10.0%、連対率15.0%、複勝率20.0%

2015年にコパノリッキー、2019年にインティが勝利している。しかし2020年以降は8頭が出走するも、すべて掲示板外と直近の成績は振るわない。

先行争いを制したバビットが逃げるも、向正面に入ると馬群がひとかたまりとなり、1000m通過は1:01.1。3角で後退していったバビットをかわしてウィリアムバローズが先頭、2番手にオメガギネスがつけた。直線はこの2頭の追い比べが続くも、差を詰めさせなかったウィリアムバローズが1馬身差をつけて勝利した。重馬場で勝ちタイムは1:49.2の決着だった。

2着オメガギネス(現時点では除外対象)は、終始ウィリアムバローズの半馬身外を追走するも届かず。それでも、2走前に不良馬場で行われたグリーンチャンネルCでは、1:34.3というタイムで後続に3馬身半差をつけて快勝した。その舞台の東京ダート1600mに戻るのはプラス材料と言える。

6着ペプチドナイルは、道中オメガギネスの1列後ろを追走するも、ゴール前では後続に差されてしまった内容から、パンチ不足の印象は否めない。

JBCスプリント【データ:B メンバーレベル:B】

過去10年の成績【0-1-0-2】勝率0.0%、連対率33.3%、複勝率33.3%

出走回数は少ないものの、2023年はレッドルゼルが3番人気で2着と上位に入っている。

激しい先行争いを制して逃げたラプタスのすぐ外2番手からレースを進めた兵庫所属のイグナイター。直線も5頭が横に広がる展開となるも、残り200mで先頭に立ち、大外から追い込んだリメイクに1馬身半差をつけて勝利。悲願のGⅠ級競走制覇を成し遂げた。

同馬は1600mの南部杯でレモンポップと2.0秒差の2着の実績があるが、交流重賞での勝利はいずれも1500m以下。ベストの条件とは言えないが、今回のメンバー構成であれば付け入る隙はある。

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武蔵野S【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【0-0-1-0】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率100.0%

今回と同舞台の武蔵野Sからの参戦は2020年サンライズノヴァのみだが、3着と好走を果たしている。

スタートして勢いよく飛び出したメイショウウズマサが逃げる展開で、2番手ケイアイシェルビーもその直後を追走して息の入らないペースとなった。そうした中で5番手から運んだドライスタウトが外から突き抜け、1馬身3/4差つけた。勝ちタイムは1:35.2だった。

3着レッドルゼルはドバイゴールデンシャヒーン以来、久しぶりのレースとなった。スタート後ダッシュがつかず最後方を追走するが、かかり気味に11番手までポジションを押し上げ、直線はジワジワ伸びたが勝ち馬とは0.6秒差。それでも昨年のフェブラリーSでは2着と好走している。タイム面に限界はありそうだが、展開が向けば今年も上位への好走があっていい。

東京大賞典【データ:C メンバーレベル:A】

過去10年の成績【0-1-2-13】勝率0.0%、連対率6.3%、複勝率18.8%

年末の東京大賞典からは16頭が出走するも、勝利なし。それでも2023年はメイショウハリオが3着と好走した。

今年はJRAから7頭、地元南関東から2頭が参戦。大外枠からウィルソンテソーロが逃げる展開で1000m通過が1:03.8とスローペースになった。そうした展開の中、後方2番手からじっくりと運んだウシュバテソーロが直線大外から豪快に差し切り。勝ちタイム2:07.3での決着だった。

原優介騎手の好騎乗が光ったウィルソンテソーロだが、最後は地力の違いを見せつけられて2着。東京ダート1600mは条件戦時代に2戦2勝という成績から問題なし。今回は初騎乗となる松山弘平騎手に乗り替わりとなるが、近2走と比較すると相手関係が楽になる点はプラス材料だ。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ドゥラエレーデは道中2番手を追走からそのまま粘っての3着。ウィルソンテソーロとは、チャンピオンズCに続いてクビ差敗れる結果になった。こちらも安定した走りを見せているが、芝ダート問わず中距離路線で先行するレースを続けてきただけに、マイル戦の流れに対応できるかがカギとなる。

5着キングズソードは中団のインを追走。直線は外に持ち出すも勝ち馬から0.4秒差という結果だった。2走前のJBCクラシックは圧巻の内容で、こちらも距離に対応できれば勝ち切ることも十分にありえる。

大井所属で昨年の南関東クラシック三冠を達成したミックファイアは、キングズソードとほぼ同じポジションから運んだが、勝負所で手応えが怪しくなって2.4秒差の8着に沈んだ。状態面が万全ではなかったかもしれないが、JRA勢相手に全く見せ場なく終わった点から上位とは力の差がありそうだ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。



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