津田健次郎、同世代の多い現場で感じた深みと味 特徴的な低音ボイスならではの悩みも

毎週、目が離せない展開が続いているテレビ朝日系木曜ドラマ『グレイトギフト』。黒岩勉脚本×反町隆史主演で贈る本作は、人を死に至らしめ、使用後には消えてしまう未知の殺人球菌「ギフト」を巡るサバイバル医療ミステリーだ。

主人公の病理医・藤巻達臣(反町隆史)を脅し、ギフトを殺人の道具として使う理事長の白鳥稔(佐々木蔵之介)。そんな白鳥の腹心として暗躍するのが、藤巻の同期でもある心臓外科医・郡司博光(津田健次郎)だ。

「すごく演じがいのある役」と語る津田健次郎に、同世代が集まった現場の様子や、特徴のある低音ボイスならではの悩みについて聞いた。(編集部)

――演じる郡司博光はどんな人物でしょうか?

津田健次郎(以下、津田):非常に優秀な心臓外科医で、佐々木蔵之介さんが演じるさらに優秀なカリスマ心臓外科医・白鳥の下について、一緒に行動している人物です。結構ミステリアスといいますか、どこか謎めいたところがあるような……基本的には、すごく嫌なヤツですね(笑)。本当にすごいスピードで物語が展開していきますし、謎が謎を呼ぶようなとっても面白い脚本になっていると思います。

――クランクインはいつ頃だったんですか?

津田:11月の終わりだったので、撮影が始まって2カ月くらい経ちますね。

――これまで郡司を演じられて、手応えはいかがですか?

津田:めちゃくちゃ面白いです。本当に素敵な役を黒岩(勉)さんが書いてくださって、わりと多面的な役柄なので、各話ごとにいろんな面が見えてきて。それは僕だけじゃないんですが、すごく演じがいのある役ですね。このドラマに参加して、もう最初からずっと全力疾走させていただいていますし、とても充実した日々を過ごしています。

――医師役ならではの難しさもありそうです。

津田:まず手術シーンで、「おーふっ」となりました(笑)。そのときは僕よりも蔵之介さんが大変な場面でしたけど、いやぁ難しいなと。それ以外のところでは、一度だけ病状を長く説明するようなシーンがありまして、もう(セリフは)すっかり忘れましたけど(笑)、すごく大変だなと思いました。反町さんは病理医なので、どちらかというと病気ではない部分のワードの難しさを抱えていて、蔵之介さんと僕は病気に関するハードなワードがずらっと並ぶので、そういうシーンはちょっとドキドキしますね。だから、お互いにすごく優しいです。「あれ?」となっても、「大丈夫だよー」とか、「蔵之介さん、大丈夫です!」みたいな(笑)。みんなでお互いに優しくし合っています。

――主演の反町さんは、どんな座長ですか?

津田:今回初めてご一緒させていただいたんですが、どーんと肝の据わった座長で、すごく優しいです。ブレないことで安心感を作ってくださいますし、ポイントポイントで締めるところは締める。とにかくマイペースに過ごしてくださっているので、本当に安心して現場が回っていく感じがとても素敵ですね。

――反町さんとは、どんなお話をされていますか?

津田:本当に他愛ない世間話が多いです。ゴルフ場でパットを打つシーンでは、反町さんはゴルフがお上手で詳しいので、いろいろと教えていただきました。僕は全然ゴルフのことはわからないんですけど、そこからゴルフのお話を聞いて「そうなんですね」と楽しませてもらったり。仲良くさせていただいて嬉しいですし、より現場が楽しくなってきました。

――これまで撮影をしてきて、印象的だったエピソードはありますか?

津田:毎回毎回印象的ですが、あるタイミングで郡司の印象が変わるようなシーンを撮ったときに、反町さんが笑ってくれたんです。反町さんはカメラに映っていないんですけど、それにつられて僕まで笑えてきちゃって(笑)。「ちょっと反町さん、マジで勘弁してください!」と言いながら一緒に笑い合って、あれは面白かったですね。

――(笑)。内容はシリアスですが、現場は明るい雰囲気なんですね。

津田:そうですね。みんなでよく笑っていますし、穏やかに進んでいます。物語自体は殺伐としていて、しんどい部分もいっぱいあるんですけど、現場は本当に和やかです。

――津田さんは若い俳優さんとの共演も多い中、今回は同世代が多い現場ということで刺激を受けるようなことはありますか?

津田:そうか、それでみんながマイペースで、現場が落ち着いているんですね(笑)。でも、本当にみなさん全然違う個性があって、それぞれに深みと味があるんです。やっぱりキャリアと年齢を重ねている人って、本当に面白いなと思います。肩の力がストンと抜けている分、自分自身の面白みが滲んでいて。僕も含め、当たり前ですけどみなさんシワが入ってるんですよ。そのシワの1本1本がカッコいいといいますか、そこに人生が刻まれている感じがします。僕はもともと年齢を重ねることをポジティブに捉えていますけど、「年齢を重ねるっていいものだな」とあらためて思いました。カッコよく年齢を重ねていらっしゃる方ばかりなので、よりそう感じるのかもしれないですね。

――ではドラマのタイトルにかけて、津田さんがご自身の容姿や性格、性質などについて、「神様からのグレイトギフトだ」と思うものを教えてください。

津田:自分ではコントロールできない部分になってくると思うので、“声”に関して言うと「特徴的な声にしてもらえてよかったな」とは思います。同じ低音でもちょっと異質なので、すぐにわかってもらえるんですよ。逆に言えば、すぐにバレるんですけど(笑)。いろいろな声を出す仕事をする中で、芝居を始めた当初からはずいぶん声も変わっていますが、ベースとなる“特徴のある声”をもらえたことはありがたいなと思います。

――ちなみにお仕事ではないプライベートで、「この声が役に立った」というご経験は?

津田:ないと思いますね(笑)。逆に、すごくよく聞き返されるんですよ。やっぱり低音って聞き取りにくいみたいで、それに加えて僕がボソボソ喋るので「え?」としょっちゅう聞き返されて、(姿勢を正しつつ)「ごめんなさい、はっきり喋りますね」って(笑)。だから日常生活で、「ラッキー!」ということはないですね。

――初めは声優ではなく俳優からキャリアをスタートされましたが、当時から「声がいい」と言われたり、自分でそう思うようなことは?

津田:全然ないです(笑)。「変わった声だな」と言われたことはあって、それはありがたかったなと思いますけど、自分の声がいい声だなんて一度も思ったことがないんです。

――「こんなにいい声なのに!?」と思ってしまいます(笑)。郡司は“権力を手に入れたい”と考えるタイプですが、津田さんが今手に入れたいものはありますか?

津田:海外旅行にいっぱい行ける機会がほしいです(笑)。タイミングが合えば、もっともっといっぱい行きたいなと思っています。小さな頃に海外に住んでいたこともあって、あまり国境というものにとらわれない性格でして。好奇心が強いので、知らないもの、見たことがないもの、体験したことがないこと、食べたことのないものに対して、面白そうだなと思っちゃうんです。

――スケジュールの兼ね合いでなかなか難しいとは思いますが、その好奇心がきっとお仕事にも役立っていますよね。

津田:ものすごく役立ってると思いますね。好奇心が強いからこそ、いろいろなお仕事を面白がりながら続けられているんだと思います。

(文=nakamura omame)

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