【新日本】レインメーカーショックから12年…オカダ・カズチカが棚橋弘至との物語に終止符! 最後は「潰すかんな!このヤロー」と強がりつつ号泣

新日本プロレスはビッグマッチ『THE NEW BEGINNING in OSAKA』2.11大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)第1競技場大会を開催した。今大会はアメリカAEWへの移籍が決まっているウィル・オスプレイの新日本ラストマッチと、アメリカWWEまたはAEWへの移籍が濃厚なオカダ・カズチカの大阪ラストマッチとあって、チケットは事前に完売。追加席もすぐに売り切れたため、同会場ではコロナ禍明け後、初となる札止めの観衆が駆けつけた。

第5試合では、オカダが棚橋弘至と最後の一騎討ち。オカダは武者修行から凱旋帰国した2012年2月の大阪大会で、棚橋が保持していたIWGPヘビー級王座に挑戦。レインメーカーで棚橋を破り、IWGP王座を奪取。新日本マットにレインメーカーショックを与えた。そこから棚橋とオカダは、オカダの16戦8勝5敗3分けというライバルストーリーを経た上で共闘、石井智宏を加えたトリオでNEVER無差別級6人タッグ王座を獲得している。

また棚橋の壁を越えたオカダは、新日本の新たな象徴として、昨年の創立50周年イヤーも盛り上げていった。しかし今年1月、1月末日で新日本を退団することを発表。2月に行なわれる新日本の大会は、この日の大阪大会、22、23日の札幌・北海きたえーる2連戦の3大会をフリーという形で出場する。

試合前の煽り映像では、レインメーカーショックから棚橋とオカダのストーリーが流される。まず先に棚橋がテーマ曲を前のテーマ曲である『HIGH ENEGY』との合体バージョンで大盛り上がりの中リングへ。続いてオカダの入場には久々にレインメーカードルが降り注ぎ、あの頃と同じ金髪のオカダに場内は大オカダコール。17度目となるシングル対決の試合開始のゴングが鳴るとオカダコールと棚橋コールが交互に沸き起こる。

試合はこれまでの二人の闘いの総決算のような展開に場内は沸きまくり、棚橋が意地を見せつける中、最後はオカダが執念のレインメーカーで、あの日と同じく3カウントを奪取。試合後、二人は額を合わせながら会話を交わすとハグを交わす。棚橋が引きあげると、リングに残ったオカダはリングのキャンパスに描かれたライオンマークに座礼。ここでオカダは堪えきれなくなり涙。立ち上がってファンに頭を下げると、最後はステージでレインメーカーポーズを決めて、オカダコールが鳴り止まぬ中、オカダは姿を消した。
バックステージで棚橋はオカダに「一旦、きょうで終わり。俺はオマエを誇りに思っているから。世界に俺たちがここでやって来たことを見せてきてくれよ。一緒に自慢させてもらうからさ」と言葉をかけるとオカダは涙。二人はハグをすると、棚橋は「12年間よくやったな」と泣いているオカダの背中を叩いてから控室へ。
オカダは「やっぱりレインメーカーというのは棚橋さんあってのレインメーカーだと思うし、大阪っていう場所もレインメーカー始まりの場所でもある」と最後に大阪で棚橋と一騎討ちが出来たことに感慨深い様子。今後については「自分が活躍して、新日本プロレスの良さを広めていけたらと思っているので、棚橋さんの、新日本プロレスの誇りになれるように次も進んでいきたい」と新天地での飛躍を誓った。「泣きすぎでしょ」と言いながら最後も「俺はもう新日本じゃねぇから。潰すかんな!このヤロー」と強がりながらも、その瞳は潤んでいた。

12年前に大阪で始まった棚橋とオカダの物語は12年の月日を経て大阪で“一旦”終わりとなる。中邑真輔、柴田勝頼、オカダと棚橋のライバルたちは新日本を去ってしまったが、ファンの記憶にはいつまでも残るだろう。

◆新日本プロレス◆
『THE NEW BEGINNING in OSAKA』
2024年2月11日
大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)第1競技場
観衆 5327人(札止め)
▼シングルマッチ(30分1本勝負)
●棚橋弘至(16分50秒 片エビ固め)オカダ・カズチカ○
※レインメーカー

文⚫︎どら増田

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