北陸線特急36本運休 JR北鯖江駅 沿線火災、1万人影響

切符購入のため列をつくる利用客=12日午後3時40分、JR金沢駅

 12日午前11時5分ごろ、JR北陸線の北鯖江駅(鯖江市)近くで火災が発生し、JR西日本は敦賀―福井駅間上下線で約6時間、運転を見合わせた。特急は「サンダーバード」「しらさぎ」が計36本運休、普通列車は22本が運転を取りやめた。列車13本に最大で約6時間半の遅れが生じ、約1万600人に影響した。

 JR西日本金沢支社によると、火災は午後2時ごろに鎮火。運転再開は当初、午後3時ごろとアナウンスされていたが、架線に被害があったため復旧作業に時間を要し、午後5時半にずれ込んだ。臨時のサンダーバード2本を運転した。

  ●3連休最終日 金沢駅で混雑

 JR金沢駅は3連休の最終日で利用客が多く、混雑した。「みどりの窓口」には切符の変更や払い戻しをする人の行列が延び、駅員は運転再開時間や代替ルートの説明に追われた。

 岐阜県美濃加茂市から旅行で金沢を訪れていた教員岩出明日香さん(25)は、乗車予定のしらさぎが運休となり、「駅員からは新幹線で長野まで行き、岐阜に帰る方法を説明された。仕事があるので今日中に帰れないと困る」と話した。

 能登半島地震の被災地支援で県外から来ていた人も足止めを食った。9日から七尾市の介護施設で利用者の見守りをしたという福岡県みやま市の介護施設職員黒田直樹さん(50)は「疲れているので早く帰りたいが、サンダーバードの再開を待つしかない。北陸新幹線が敦賀までつながっていれば行けたのかも」とこぼした。

 火災は鯖江市下河端町の住宅から出火し、木造2階建ての住宅と隣接の元工場が全焼した。鯖江署によると、出火元の男性(82)が軽いやけどを負った。JR西によると、火災の影響で北陸線の電気設備の一部が溶けたという。

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