いつでも、どこからでも芸術鑑賞 県立の3館が収蔵品情報ポータルサイト、和歌山

収蔵品情報ポータルサイト「和歌山ミュージアムコレクション」

 和歌山市吹上1丁目の県立近代美術館と県立博物館、同市岩橋の県立紀伊風土記の丘の3館は、それぞれが収蔵する作品や資料を総合的・横断的に紹介し、県内外に発信する場として収蔵品情報ポータルサイト「和歌山ミュージアムコレクション」を立ち上げた。

 このポータルサイトは、2022年度の県新政策事業「和歌山博物館施設デジタル化計画」の一環として開設した。これに先立ち、県立近代美術館など3館は収蔵品情報のデータベース化をし、インターネットを通じ、誰もが「いつでも」「どこからでも」簡単にアクセスできる基盤を整備したほか、各館のホームページでも、それぞれの収蔵品を検索できるようにした。

 同サイトには、収蔵品の横断検索機能(簡易検索・詳細検索)はもちろん、高精細画像コンテンツをはじめ、歴史・美術など分野の垣根を越え、さまざまな作品・資料と出合うための「仕掛け」が盛りだくさん。現在、掲載している収蔵品は約1万6千件で、今後も画像データの追加やコンテンツの拡充などに取り組むという。

 高解像度で撮影した収蔵品の画像を見ることができる「高精細画像」は、実際に展示室で作品を見るときとは違った魅力の発見につながる。例えば、県立博物館が収蔵する「紀州本川中島合戦図屏風(びょうぶ)」は川中島合戦のうち、1554年と56年の合戦を主題として緻密な筆致で人物や城などを描いており、武田信玄と上杉謙信の一騎打ちの場面が注目される。高精細画像では、大きな屏風に描かれた武将たちの様子もよく見えるため、まるで戦国時代の合戦の世界に入り込んだような気分になる。

 ほかにもサイトには、3館で実施している教育普及に関するプログラムを掲載した「教育プログラム」、歴史や郷土、美術、自然など多分野にわたる県内のミュージアム情報を掲載した「県内のミュージアム」などがある。

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