写真スタジオがフードコートで「退職強要」?目撃者と会社側で食い違う面談風景 「パワハラ」vs「法令に照らして問題なし」

「カメラのキタムラ」の写真スタジオとして知られる「スタジオマリオ」の女性店員が上司とみられる男女に「パワハラなんてなかったよね?」などと言われながら退職届を書くように促されているところを見たとする目撃情報が、2024年2月7日にXで投稿された。これが拡散されると、スタジオマリオを運営するキタムラは9日、公式サイトに調査結果を公表。ただ、目撃情報とは食い違いがある。例えば、会社側の説明では、上司の側に「大声を上げるなどの行為はなかった」と説明しているが、目撃者は、上司の側が「解雇しますから!!」などと叫んでいた、としている。

「怒鳴られ泣かされ退職届にサインしろ!って詰め寄られてるの、典型アウト例ですごいな」

投稿者はXで、「フードコートで、スタジオマリオの店員の女の子が『パワハラなんてなかったよね?サインしてくれる?』って詰め寄られて号泣しながら、スーツのおじさんと面接してるの、普通に会社のイメージ落ちるとか思わないのかな...大丈夫...?ってビックリした」と投稿。詰め寄られていた店員は、投稿者がスタジオマリオに来店した際によく写真を撮ってくれた人だったといい、「店長さんの注文ミスとかカバーしてくれて、店長とよく喧嘩してたから、いじめられてそうとは思ってたけど、パワハラ訴えたら本社のおっさん出てきて、怒鳴られ泣かされ退職届にサインしろ!って詰め寄られてるの、典型アウト例ですごいな」とも伝えた。

この投稿は5万いいね、1万超リポストされ、拡散された。投稿者が目撃したというスタジオマリオの対応への批判の声のほか、元店員という人からの「パワハラどころかマタハラもあった」「(ハラスメントを)揉み消されました」という反応も複数寄せられた。

さらに投稿者は9日、女性店員に会ったとして、「退職届を書くように体押さえつけられて、悲鳴あげたら離れたから、その瞬間に書かずに逃げたそう」「逃げる背中に『解雇しますからー!!』って叫ばれたのは覚えてるらしい」との当時の状況も投稿した。

同日、キタムラは公式サイトで「X(旧Twitter)で発信されたスタジオマリオに関する情報についての調査結果」と題し、次の4点について「事実を確認」した、と説明した。

(1)「ショッピングセンターのフードコート近隣の共有区画においてスタジオマリオ所属の社員(以下「対象社員」といいます。)1名に対し、男性社員1名と女性社員1名(以下「面談社員」といいます。)で面談を行ったこと」

(2)「対象社員が面談の中で退職の意思を表示したため、面談社員の1名が店舗に戻って退職届の書式を印刷して来て対象社員に交付したところ、対象社員は退職届を記載せず面談中に退去したこと」

(3)「上記面談において、面談社員側に、退職届の作成を強要する、対象社員の体を押さえつける・大声を上げるなどの行為はなかったこと」

(4)「上記面談において、対象社員が泣いていたという事実はないこと」

この4点を踏まえて

「対象社員のプライバシーにも配慮し、上記以上の、面談が行われた経緯や面談の具体的内容の詳細については差し控えさせていただきますが、当社としては、現時点で、面談社員側の対応に法令に照らして問題のあるものはなかったと考えております」

と主張する一方で、面談をオープンスペースで行ったことについては「その場にいらっしゃる皆様にご心配をおかけすることにもなり、適切ではなかったと考えております。このことについては、当社においても早急に改善に向けた対応をして参ります」とした。

「泣きながら走って行っていたので、ドラマみたいでした」

J-CASTニュースが9日、投稿者にキタムラの発表した情報を伝えたところ、目撃情報と矛盾があると話した。

(1)(2)については相違ないとしたものの、面談は今回が初めてではない様子で、「『本当はやめたくない、好きな職場だから、店長やブロック長のこういうところを直して、店をよくして欲しい』と話してました。ただ具体的に話し出すと、女性社員に遮られ、聞く気がなくて『変えられないなら辞めるしかないと思ってます。でも、変えて欲しいからメール一本でやめようと思えば辞めれるのに、こんなに真剣に話してるんですよ!それなのに早く退職届だけ書いてくださいなんておかしくないですか?それならもう今日は帰ります!』みたいな感じで、逃げたというか、交渉決裂って感じでした」と明かした。

(3)でキタムラが否定した「退職届の作成を強要」については、「どこからが強要というんですかね?」としつつ、「退職届を書いてくださいとは言ってました」という。

「体を押さえつける・大声を上げるなどの行為」については、「(対象社員の女性が)逃げようとしていたので、それを取り押さえるように通せんぼして男性が動いて座らせていましたが、強い力をかけたのか?どれくらい触れていたのか、については、泣いていた子の悲鳴のが早かったので、一瞬のようには感じました」と明かした。さらに、面談中、面談社員の男性は静かだったものの、「(対象社員の女性が)逃げていく背中に『解雇しますから!!』って叫んでたのは男性でしたね...」という。「その区画のフロアにいた人は聞こえていたと思います。叫んだ先には女の子(対象社員の女性)が泣きながら走って行っていたので、ドラマみたいでした」と明かす。

(4)の対象社員の女性が泣いていたかどうかについては、「たしかに初めは泣いてなかったんですが、途中から最後までは泣いていましたよ」とした。

J-CASTニュースはキタムラに、投稿者が明かした矛盾点について再度事実確認をするとともに、今回の目撃情報に寄せられた意見や、元店員という人から上がっている「自分の時もパワハラがあった」などの声についての改めて見解を求めたが、「今回、HPにて公表させて頂いたものを以てお答えとさせて頂きます」と回答するにとどめた。

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