「慕っていた先生から強制わいせつ 絶望は計り知れない」元保育士の男(25)が9歳女児に送迎バス内で犯行に及ぶまで

判決公判に現れたのは、元保育士の男。当時9歳の女児に対する強制わいせつ傷害の罪に問われている25歳の被告は、黒のスーツに青系のネクタイ姿で弁護士の横に座ると、落ち着かない様子でキョロキョロと周囲を見渡していました。

元保育士の男 送迎バス内で障害のある女児(当時9歳)にわいせつ行為

判決文などによると、当時岡山市に住んでいた元保育士の男は、社会福祉法人の放課後デイサービスに勤務。2023年3月8日に、デイサービスを利用している当時9歳の女児を学校まで迎えに行き、施設まで送迎しようとしていました。

犯行はその道中、岡山市内の駐車場で起きました。午後2時30分過ぎ、元保育士の男は、駐車した車の中でこの女児の臀部を複数回揉むなどわいせつな行為をし、約2週間のけがを負わせたのです。

女児が入院や手術を要するけがをしていたことで犯行が発覚。元保育士の男は、強制わいせつ傷害の疑いで逮捕され、その後起訴されました。

慕っていた先生から被害にあった「恐怖」「絶望」は計り知れない

2月9日に行われた裁判員裁判ー本村暁宏裁判長は、検察側からの求刑5年に対して、懲役3年6か月の判決を言い渡しました。

裁判長は判決理由として、
「女児が重度の障害のため、喋って助けを求めたり抵抗して逃げ出すこともできないと認識しながら、保育士としての責務をかなぐり捨てて犯行に及んだ。卑劣で強く非難されるべき」

「慕っていた先生から被害にあった恐怖や苦痛、信頼を裏切られた絶望は計り知れないが、女児はその障害のため被害の苦しみを伝えたくても伝えられず、精神的影響は計り知れず、今後の成長に対する悪影響も懸念される」などと述べました。

元保育士の男「上司との人間関係によるストレスで」裁判長「ストレスは理由にならない」

一方で、元保育士の男は犯行動機として
「職場の上司との人間関係によるストレスを抱えていた」
「突発的に犯行に及んだ」
などと主張。弁護側は執行猶予つきの判決を求めていましたが...。

裁判長は、
「ストレスは理由にならないし、ストレスの原因と何ら関係のない女児に対して犯行に及んだ動機に酌量の余地はない」
と断じました。

「二度と犯罪をしないと誓っている」「反省を深めてほしい」

その一方で、元保育士の男が
「認知行動療法を受けるなどして更生し、二度と犯罪をしないと誓っている」
「被害者の両親は被告人を許していないとはいえ、慰謝料として300万円が支払われ、示談が成立している」

などとして懲役5年の求刑に対し、懲役3年6か月の判決を下しました。

最後に裁判長は、元保育士の男に対し、
「女児を独立した人格として尊重しようという意志があればこのような犯行に至ることはない。自分の問題に向き合い、反省を深めてほしい」

と投げかけると、男は何度も小さくうなずきながら聞いていました。

© RSK山陽放送株式会社