クマ大量出没時は県が「警報」発令へ 長野「おしおき放獣」全国最多も…警報時は捕獲・駆除優先の方針

クマの出没や人身被害が全国で増える中、長野県は13日、大量出没した際に新たに「警報」を発令する方針を示しました。警報が出たときは捕獲・駆除を優先させます。

今年度、全国で相次いだクマの目撃や人的被害。県内でも1月末までに前の年の倍近い1401件の目撃がありました。人身被害は11件12人に上り、去年10月には飯山市でわなにかかったクマに襲われ、男性が死亡する事故も起きました。

こうした状況を受け県は専門家などとクマ対策を検討しています。13日の会合で県が示したのが、大量出没した際、新たに「警報」を発令すること。発令した場合、捕獲・駆除を優先させます。

県は原則として、人や農作物に被害を与えたクマ以外は、捕獲しても駆除せずに人の怖さなどを学ばせて山に返す「学習放獣」を行っていて、その数は全国最多となっています。

ただ、県が「警報」を発令した場合は「学習放獣」を一旦やめ、捕獲・駆除を進めます。

また、イノシシやシカなどのわなにかかる、いわゆる「錯誤捕獲」されたクマは放獣することになっていますが、警報発令の際は駆除の対象にするとしています。

県鳥獣対策室長:
「餌付いてしまって再出没を繰り返し、人身被害の恐れが高まってしまうんだろうと。学習放獣は戻る山に餌があって初めて成り立つもの。山に餌がない大量出没時は学習放獣を一時休止するというのはやむを得ない部分がある」

「警報」を発令する基準はこれから検討するとしていますが、出没数や山に木の実がどれだけなっているかなどを総合的に判断するということです。

なお、これまで通り、人とクマとのすみ分けの徹底や「学習放獣」は行っていく方針で、今年度中に対策をまとめる予定です。

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