やっかい者は「花粉」だけじゃない!春に向けて気をつけたいモノを気象予報士とチェックしよう

立春を過ぎる頃になると、全国的に花粉の飛散が本格化し、街中にもマスクをする人が増えます。しかし、これから春に向けて日本の大気中に増えていくのは、じつは花粉だけでありません。

今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、花粉症じゃない人も今ぜひ気をつけたいモノを解説してもらいます。

春のやっかい者「黄砂」

Helin Loik-Tomson/gettyimages

黄砂は、春を迎えて中国大陸で低気圧が発達するようになると、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などで大規模な砂あらしが発生し、その砂が偏西風に乗って日本にもやってくる現象です。

黄砂の粒は花粉よりも1ケタ小さいため、衣服の繊維に入り込んでしまい、花粉のように外干しした洗濯物を手ではらうだけでは取れません。

おまけに砂漠の砂にはガラス質の物質も含まれているため、吸い込むとのどを傷めてしまいますし、車に積もった黄砂をふき取ろうとするとキズをつけてしまいます。

現代の天気予報技術では黄砂の飛来を事前に予測できるため、この時期は天気予報で黄砂もしっかりチェックしましょう。

1年中飛んではいるけれど…「PM2.5」

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PM2.5は黄砂よりもさらに小さい(名前のとおり直径2.5マイクロメートル以下、1マイクロメートルは1ミリの1,000分の1)粒子のことです。

花粉や黄砂のような特定の物質ではなく、大きさの基準を満たした粒子を総称してPM2.5と呼びます。

PM2.5は残念ながら年間をとおして日本に存在しますが、なかでも3月から5月頃に増加します。

また花粉や黄砂よりも小さいために、抹消の血管や肺まで到達してしまい、アレルギー症状が出たり、もともとぜんそくの症状がある人が悪化したりします。

PM2.5の濃度は、風が弱いときや低温・高湿度のときに濃くなりやすいため気をつけましょう。

春霞はきれいじゃなかった…「土ぼこり・砂ぼこり」

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春になると気温が上がり、上昇気流によって土ぼこりや砂ぼこりが起きやすくなります。

1年でもっとも気温が高いのは夏ですが、夏なら地面に草が生い茂っていてその根がしっかり張っていますし、降水量が多いため地面が湿っていて、春のように簡単に土が舞うことはありません。

一方で春は冬のあとなので、根を張る草もなく地面は乾燥していて、土や砂が舞いやすくなっているのです。

空がぼんやり白っぽく見えると「春霞の季節だなぁ」とほのぼのしますが、実際その空気はかなり汚れていると思ったほうがよさそうです。

花粉症じゃなくても部屋干し・マスク活用を

家族に花粉症の人がいないと春でも洗濯物を外干しする場合が多いと思いますが、黄砂や予想されている日や、そうでなくても空が白っぽく見える日は要注意。

じつは春はそういう日がかなり多いため、筆者は外干しと部屋干しを併用するのが手間に感じ、春の間はずっと部屋干しをしているくらいです。

また、花粉症じゃないのに春はくしゃみが増えたりのどが痛くなったりする、という人はPM2.5でアレルギー症状が出ている可能性も。

マスクを活用したり、つらい場合はがまんせず医療機関を受診するようにしましょう。

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。Instagramは「@megumi_kitchen_and_atelier」。

編集/サンキュ!編集部

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