【タイ】小売りセントラル、新店などに900億円投資[商業]

タイ小売り大手セントラル・リテール・コーポレーション(CRC)は12日、百貨店「セントラル・デパートメント・ストア」を2店追加するなどして、2024年の売上高を前年比9~11%増に引き上げると発表した。24年は事業拡大や新技術導入に222億~224億バーツ(約925億~934億円)の予算を投じる。

年次フォーラムで方針を語るセントラル・リテールのヨンCEO=12日、タイ・バンコク(NNA撮影)

ヨン最高経営責任者(CEO)は同日開いた年次フォーラムで「CRCは常に技術革新が起こり消費者の行動が変化し続ける中で、優れた管理能力や財務安定性によって、力強い成長を保っている」と述べた。長期的な成長に向けて、人工知能(AI)を積極的に導入してオムニチャンネル化をさらに推し進めるほか、消費者向け(BtoC)だけでなく企業向け(BtoB)に事業を拡大すると宣言した。

ヨン氏によると23年の売上高は71~72%を国内が占め、20%余りをベトナム、5~6%をイタリアが占めた。事業別では食品事業が売上高の38%、ファッション(百貨店)事業が28%をそれぞれ占め、残りはホームセンタ—・商業施設事業となっている。

■高級品・食品小売りに重点

24年の投資予算は75~80%を国内に、残りをベトナム、イタリアに振り向ける。高級品小売りとベトナムの食品小売りに重点を置く方針。百貨店は2店開業、4店をリノベーションし、世界的なブランドを誘致する一方でタイブランドをベトナムに出店させる。

食品では卸売店「ゴー・ホールセール」を7店、スーパーマーケット「トップス」を10店それぞれ追加。ベトナムではハイパーマーケット「ゴー・ハイパーマーケット」を3店、スーパー「ミニ・ゴー」を9店それぞれ追加する。ホームセンター「タイワサドゥ」を9店追加するほか、商業施設「ロビンソン・ライフスタイル」各店の改善にも取り組む。

■中国製品流入対策を支持

ヨン氏は23年のタイの小売市場は約4兆バーツ規模だったと述べた。今年は国内総生産(GDP)成長率と同等の2~3%増が期待できるとみている。

タイ経済は「危機的状況ではない」とした上で、中国から安価な製品が流入していることについては懸念を表明。政府が1,500バーツ以下の商品の輸入で付加価値税(VAT)を免税としている措置が問題である可能性があるとの見方を示した。タイ工業連盟(FTI)、タイ商工会議所(TCC)、タイ銀行協会(TBA)の民間3団体で組織するタイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)が、政府にVAT免除廃止を提案したことを支持すると述べた。

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