中国で昨年前半に一大ブームを起こした「淄博の串焼き」の栄枯盛衰―台湾メディア

台湾メディアの中時新聞網は10日、中国で昨年前半に一大ブームを起こした山東省淄博市の串焼きの「栄枯盛衰」について伝える記事を掲載した。

台湾メディアの中時新聞網は10日、中国で昨年前半に一大ブームを起こした山東省淄博(しはく)市の串焼きの「栄枯盛衰」について伝える記事を掲載した。

7~8割方焼かれた串焼きを、客がテーブル上のコンロを使って自分で焼き、ネギや特製タレと共に薄いナンのような皮で巻いて食べるというスタイルの淄博の串焼きは、昨年4月末から5月初にかけてのメーデー連休中に中国のSNS上で大いにバズった。

きっかけは、コロナ禍で落ち込んだ消費を回復させるため、地元の官民が一丸となった串焼きによる町おこしだ。さらに、淄博市政府と同省済南市にある山東大学から隔離された学生との「再会の約束」もその人気に火をつけた。淄博市政府は一昨年5月、コロナ対策のため同市の臨時隔離施設に送られた山東大学の学生数千人が隔離を終えて同市を離れる直前、長い間ちゃんと食事を取れなかった学生らを気遣い、隔離施設の近くにあるすべてのバーベキュー屋台を借り切って、学生らのために送別会を開いた。そして、感染症の流行が落ち着いた昨春、串焼きを食べに来るよう招待した。学生らは感謝の気持ちを込めて、家族や友人を連れて串焼きをするという約束を果たした。このエピソードが大流行のきっかけになった。

記事によると、淄博の串焼きが一大ブームを起こしたことについて、米ニューヨーク・タイムズは、人口470万人のこの都市は昨年3月に480万人の観光客を迎え、その後のメーデー連休中には、市内の食品市場に万里の長城よりも多くの人がいたなどと報じた。現地では串焼き店の出店ラッシュが続いたが、そうした観光ブームによる好況は昨年9月末から10月初にかけての中秋節・国慶節の大型連休まで持ちこたえられなかった。わずか数カ月の間に、串焼き店が次々と鉄扉を下ろして閉店し、本土メディアの中にはその様子を「断崖式下落」と表現するところまであった。

ある本土メディアは、その原因として、串焼きはそもそも淄博独自のものではないこと、観光客は新しさを求めて淄博を訪れたのであり、その好奇心が満たされるとそうしたムードは消失したこと、現地の観光客受け入れキャパシティー不足問題が浮上したことなどを挙げているという。(翻訳・編集/柳川)

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