自由の意義とは…独裁国家の姿、漫画で問う ロシア出身の2人組が現代に一石

「サバキスタン」を出版したビタリーさん(右)とカティアさん=横浜市内(矢部 真太写す)

 国家による抑圧やじゅうりんが繰り返されているこの現代で、自由の意義を問う漫画家コンビがいる。架空の独裁国家を描いたロシア発のグラフィック・ノベル「サバキスタン」を制作したのは、ロシア出身の2人組、原作を担当するビタリー・テルレツキーさん(35)と、作画を担うカティアさん(34)だ。「漫画で独裁政治には抵抗できないがしかし、面白い絵を通じ、時代の捉え方を正すことができるはず」と筆に力を込める。

 「サバキスタン」とはロシア語の「サバーカ」(犬)と、ペルシャ語の「スタン」(国)による造語で、意訳すれば「犬の国」。登場人物は犬の姿で描かれ、社会主義国における独裁をユーモアと皮肉で伝える。

 2019年にロシアで出版され、日本では昨年、全3巻が翻訳出版された。

 物語は、サバキスタンが自国の栄華を世界中に発信しようとするところから始まる。突如として国境を開放し、各国のジャーナリストたちが招かれる。国家元首たる「同志相棒」が存命でありながら国葬儀の予行演習が執り行われ、隆盛や権力を見せつける…。

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