上場ゼネコン大手4社、23年4~12月期決算/全社増収も利益確保課題

上場ゼネコン大手(鹿島、大林組、清水建設、大成建設)の2023年4~12月期の連結決算が13日に出そろった。大型工事の進捗(しんちょく)や物価上昇などを反映して全社が増収。一方で本業のもうけを示す営業利益は鹿島を除く3社が前年同期を下回った。純利益は全社が減少しており、厳しい状況がうかがえる。急激な物価上昇を受けた低採算の大型手持ち工事を着実に消化すると同時に、採算重視の受注活動を進めていく考えだ。
連結売上高は鹿島、大林組、清水建設が単体と合わせ過去最高となった。鹿島は建設事業に加えて開発事業が貢献し、営業増益につなげた。
単体の完成工事総利益(粗利益)率は、鹿島が引き続き2桁を確保。大林組と大成建設も改善した。清水建設は手持ち工事に占める低採算の大型建築工事の割合が高く大幅な減益を見込む。「受注前審査の一層の厳格化」(清水建設)などにより損益改善を図る。単体受注高は、通期で鹿島と清水建設が前期と比べプラスを見込む。
通期の連結業績予想では、鹿島と大成建設が増収営業増益を見込む。インフレに伴い、4社とも建設コストが上がる中で「DXなどによる生産性向上」(鹿島)や「発注者との価格転嫁の交渉を継続」(大成建設)などにより採算性向上に努める。「新しい案件では(インフレリスクを)協議事項に入れてもらえるようになった」(大林組)など市場の理解も広がりつつある。
国内建設市場では官民ともに堅調に需要が推移しているが、4社とも「経営環境は厳しい」との認識で一致する。4月からは建設業にも時間外労働上限規制が適用され、週休2日制の拡大など働き方改革を推進しつつ、工事を進捗していくことが求められる。物流業界の「2024年問題」への対応のほか、サプライチェーン(供給網)を含め安定した施工体制の構築が一段と重要になる。十分な利益を確保しつつ、豊富な手持ち工事をどうこなしていくのか正念場を迎えている。

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