特殊犯捜査班が突入、窓を割り閃光弾 債務者に「鬼電」ヤミ金融グループ拠点が沖縄に 1000人以上に違法貸付か 県警が事務所捜索 犯罪集団「トクリュウ」か

ヤミ金グループの事務所に突入する県警捜査1課特殊犯捜査班(SIT)の隊員ら=2023年8月、北中城村(読者提供)

 違法な高金利で現金を貸し付ける大規模なヤミ金融グループの拠点の一つが沖縄県内にあることが分かった。少なくとも県内外の千人以上に計数億円の債務があるとみられ、県警が出資法違反の疑いで捜査している。昨年8月下旬には捜査1課特殊犯捜査班(SIT)が北中城村の事務所に突入するなど、異例の捜査態勢で家宅捜索を実施した。

 県警は電子機器類や債務者の関連資料を多数押収し、解析捜査に当たっている。

 事務所の捜索では、証拠隠滅や犯行グループの抵抗を防ぐため、SITを投入した。目撃者によると、窓を割り、閃光(せんこう)弾を使って突入した。事務所の周囲は機動隊や捜査車両で包囲した。

 事務所内にいたグループのメンバー複数人を確保して事情を聴いたところ、一部は大筋でヤミ金の活動を認めたという。

 ヤミ金に詳しい関係者によると、グループは債務者からの返金が滞ると、その家族や職場などに執拗(しつよう)に電話をかけ、取り立てしていたという。こうした行為は関係者の間で「鬼電(おにでん)」と呼ばれている。

 警察庁は近年、つながりが流動的で活動実態を匿名化する犯罪集団を「匿名・流動型犯罪グループ」(通称トクリュウ)と位置付け、積極的な取り締まり方針を打ち出している。今回のヤミ金グループも「トクリュウ」に分類される可能性がある。

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