農作物育てる太陽光発電所 虎ノ門ヒルズ森タワーに電力供給 茨城・筑西

開所した営農型太陽光発電所をデモ走行するトラクター=筑西市桑山

農業と太陽光発電を同時に行う「営農型太陽光発電所」が13日、茨城県筑西市桑山に開所した。不動産大手の森ビル(東京都)が開発運営し、電気工事業のエコ革(栃木県佐野市)が施工した。農地に支柱を立てて太陽光パネルを設置し、作物を育てながら発電する。電力は東京電力エナジーパートナー(EP)を通じて虎ノ門ヒルズ森タワーに供給する。

この太陽光発電の手法は、敷地上空の一部や支柱を立てた部分だけ農地転用を認められれば実施できる利点がある。農産物の販売収入に加えて電力を自家利用でき、営農の持続可能性を高めることにもつながる。

敷地約1.9ヘクタールの地上2.5メートル以上の位置に、太陽光パネル3767枚を設置。耕作者の高齢化で荒廃の恐れがあった農地を活用した。発電量は一般家庭670世帯に相当する1時間当たり約280万キロワットを想定し、森タワーの電力使用量の約10%を賄う。災害時などでの地元利用も可能だ。

太陽光パネルは一定間隔を空けて配置。隙間から農地に太陽光が当たるよう工夫されている。エコ革の子会社が営農を手がけ、小麦と大豆の二毛作を行う。収穫物はJAや地元のみそ製造業者などに卸す。

この日、記念式典が開かれ、森ビルの御厨宏靖常務執行役員は「モデルケースとなり、いろいろな地域に広がっていくことを期待したい」とあいさつした。

同社は2024年度中に同様の発電所を栃木、群馬、埼玉の3県に計5施設を開設する予定。総発電量は筑西市を含め1時間当たり約1460万キロワットに達する見込みで、同社の所有するビルなどに供給するという。

© 株式会社茨城新聞社