悩み相談、過去10年で最多に 「山形いのちの電話」23年7903件

過去10年間で最多の相談対応件数となった山形いのちの電話

 自殺などを考え、悩みを抱える人の相談窓口「山形いのちの電話」の2023年の相談対応件数が過去10年間で最多となったことが13日、同事務局の取りまとめで分かった。自殺をほのめかす割合も増え、全体の1割を超えつつある。増加の背景として事務局は新型コロナウイルス禍で希薄になった人との関わりが「5類」となっても回復していないことが影響していると分析している。

 23年は7903件で前年比423件増となった。自殺をほのめかす相談の割合も全体の9.3%(前年比0.4ポイント増)で最多となった。「死にたくなった」などの言葉がある「念慮」は667件(前年比65件増)、「死ぬしかない」など切迫感がある「危険」は43件(同11件増)、自殺に使う薬などの準備を示す「予告・通告」は28件(同3件増)と続く。

 自殺をほのめかす相談738件のうち最多は「人生」の258件で、身近な人の死などをきっかけに生きることへの不安、将来への悲観的な考えが目立つという。次いでうつ病などを起因とする「精神」が206件となっている。

 事務局は自殺をほのめかす相談が増えていることについて「コロナ禍で人との関わりが希薄になり孤立感が高まる状態が続いている」と分析する一方、「マスク生活が長引いたせいか表情から相手の感情をくみ取れず、意思疎通が図れない状況が起きているのでは」とも推察した。

 さらに「戦争などの社会不安が解消する見通しが立たず、年明け以降は能登半島地震の影響から間接的に不安を口にする人も増えた」と傾向を示した。永沢孝事務局長は「相談内容は年々深刻さを増している。相談体制の強化には増員が必要」と協力を求めている。

◇いのちの電話相談員 昨年12月現在、60代を中心に96人が活動している。山形、鶴岡を拠点にボランティアで1人当たり月2回ほど対応する。相談員になるには養成講座を受ける必要がある。研修は心理学の専門家らの講義があり月2回程度で、1年半の期間を要する。問い合わせは事務局023(645)4377。

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