【フェブラリーS】近15年で5歳が7勝と抜群 キングズソードが冬のダート王者へ

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前走人気で明暗

2024年2月18日に東京競馬場で行われる第41回フェブラリーS。昨年に続いて外国馬が出走、とはいかなかったものの、今年はJBCスプリント勝ちのイグナイター(兵庫)、南関東三冠馬ミックファイア(大井)、そして昨年の6着馬スピーディキック(浦和)という、地方屈指の実力馬が3頭も出走する。1999年メイセイオペラ以来、史上2頭目の地方所属馬によるフェブラリーS制覇はあるのだろうか。また、データ面から予想するとどのような傾向があるのか。今回はGⅠということで過去15年のデータを参考にして検証していきたい。

☆所属
美浦所属馬は40頭出走して4勝(6連対)。栗東所属馬は185頭が出走して11勝(23連対)。勝率や連対率で比較すると、ともに美浦所属馬がリード。なお、3着馬はすべて栗東所属馬で、複勝率だと栗東所属馬の方が上。地方馬は2011年フリオーソの2着が最高着順となっている。

☆性別
連対馬30頭は、すべて牡馬かセン馬。牝馬は14頭が出走して、3着(2022年ソダシ)が最高着順だ。

☆年齢
約半数の7勝を挙げている5歳馬の活躍が目立つ。1、2、3着数、そして勝率、連対率、複勝率の6部門でトップ(2着馬だけ7歳馬と並んでトップタイ)。続く4歳馬も及第点の数字。7歳以上から勝ち馬は出ていないが、2着馬は6頭。相手候補なら割り引く必要はない。

☆前走クラス
最も勝ち馬が出ているのは、5勝を挙げているGⅠ、GⅢ組で、続いてGⅡ組の3勝(いずれもJRA重賞)。OP・L(15頭)からも2014年にコパノリッキーが勝っているが、残る14頭はすべて馬券圏外。基本は重賞組が有利と考えていい。特に、前走GⅠ組【5-3-3-17】は、勝率17.9%、連対率28.6%、複勝率39.3%とすべてで目立っている。

一方、地方のレースを使っていた組は60頭いるが、勝ち馬は2009年のサクセスブロッケンまでさかのぼらなければならない。2着馬は7頭いるので、2着狙いなら可能。これは高齢馬と同じ傾向といえる。

☆前走
最も勝ち馬を出している前哨戦は根岸S。ただし、出走頭数も断トツの86頭で、勝率5.8%などは平凡な数字。チャンピオンズCも、前身であるジャパンカップダートの成績を含めると5勝。好走率も高く狙い目となるのだが、昨年に引き続きここから出走してくる馬はいなかった。

今回の登録馬で、勝ち馬が出ている前哨戦を走っているのは、根岸S組か東海S組だけ。その東海S組は、23頭が出走して3勝。好走率も悪くなく、今回はこれが最も結果の出ている前哨戦となる。前走地方組が苦戦していると書いたが、東京大賞典組も【0-2-5-16】と勝ち切れていない。

また、今回は重賞ホースを含めて、前走で芝を走っていた馬が複数登録しているが、ここ15年で、このパターンで連対した馬は1頭もいない。それどころか馬券内に入った馬すらいない。

☆前走人気
連対した30頭中、前走で4番人気以内だった馬が25連対。できれば、これは満たしておきたい。逆に、前走が7番人気以下だった組から勝ち馬は出ておらず、2着馬も2頭だけだ。

☆前走馬体重
前走馬体重が499kg以下だった馬(94頭)が2勝、500kg以上だった馬(141頭)が13勝。ダート重賞のデータを調べていると、大型馬の活躍が目立つレースに遭遇するが、フェブラリーSも同様の傾向にあるようだ。

☆その他
そのほかで気になったデータは3つ。まずは前走着順。前走1着馬が【9-6-5-36】勝率16.1%、複勝率35.7%。そのほかの着順と比べて、好走率が高い。残る2つはマイナスのデータ。中1週以内で挑んできた馬、そして前走でマイルを走っていた馬から、連対馬は1頭も出ていない。

余談になるが、昨年レモンポップが勝ったことにより、2007年から続いていた「フェブラリーSなのに2月生まれの馬が勝てない」というジンクス?が、ようやくストップした。

連軸よりの本命

フェブラリーSのデータをまとめてみよう。

【好走データ】
A「5歳馬」
B「前走が東海S」
C「前走4番人気以内」
D「前走馬体重が500キロ以上」
E「前走1着馬」

【勝ち馬なし】
F「前走7番人気以下」

【連対馬なし】
G「牝馬」
H「前走が芝」
I「前走が1600m」

今回の登録馬で、最多となる4つの好走データに該当するのは、サンライズアリオン、ドンフランキーの2頭(サンライズホークはかきつばた記念に出走予定)。サンライズアリオンは登録馬27頭中、出走順が27番目。出走するのはかなり厳しいので、ひとまず注意マークにとどめる。

ドンフランキーは前走が地方重賞の東京盃競走(JpnⅡ)に出走。地方重賞を使って馬券に絡んだ馬は、すべてGⅠかJpnⅠだったので、その点が気になるところだ。

こちらは保留して、プラスデータ3つの馬を検証してみる。該当するのは、イグナイター、ガイアフォース、キングズソード、スピーディキック、ペプチドナイルの5頭。このうち、連対馬なしデータに該当するガイアフォース(前走芝)、スピーディキック(牝馬)は厳しいと見る。

というわけで、残った3頭を比較していきたい。文中で「できれば満たしておきたい」と書いたC「前走4番人気以内」は3頭とも該当。年齢別成績が抜けていい5歳馬はキングズソードのみで、相性の良い前哨戦である東海S組はペプチドナイルだけ。また、イグナイターは2000年以降、勝ち馬が出ていない地方所属馬ということもあり、本命候補からは除外する。

キングズソードとペプチドナイルのどちらが本命にふさわしいか。キングズソードの前走、東京大賞典の【0-2-5-16】という勝負弱さは気になるが、複勝率は30%を超えているし、ここ2年で5歳馬が3連対という勢いを加味して、キングズソードを本命としたい。相手本線はペプチドナイルとイグナイター。イグナイターの前走JBCスプリントは、3頭と少ないサンプルの中で、昨年レッドルゼルが2着に好走。チャンスは十分あるはずだ。押さえに、プラスデータを多く持っていたドンフランキーとする。

◎キングズソード
◯ペプチドナイル
▲イグナイター
△ドンフランキー
注サンライズアリオン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。 データではイグナイターは本命となりませんでしたが、賞金順の優先順位では何と一番上。今年のメンバー構成からも、大いに楽しみですよね。



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