「条件の良い人には会っているけど…」婚活初心者にありがちな“チャンスを逃す”考え方

結婚相談所の仕事をしていると、実にさまざまなカップルがいるものだなと感じます。これまで3万人以上の方の成婚のお世話をしてきた中で、今回お伝えするテーマは「復縁」です。2組のカップルについてお話ししていきましょう。

婚活を始めると誰もが陥ってしまう考え方

結婚相談所では1カ月に数人の方とお見合いができます。「月に何人まで」という制限がないので、都合がつく限り、何回でもお見合いができる仕組みになっているからです。特に入会したての時期には、新しい方が入会したということで注目を浴びやすく、お見合いの申し込みが多くなります。

近藤紗綾さん(仮名・36歳)も結婚相談所に入会した直後に、いろいろな方とお見合いをしました。結果、交際に至る相手が現れるのですが、「もっといい人、もっといい人」と思ってしまい、長続きしませんでした。

たとえば、「この人はもう少し身長が高ければいいのにな」とか「この人はいい人だけど、もっと年収が高い人の方がいいな」とか。婚活を始めると誰もが通る考え方ですが、なかなか結婚相手を決められなかったようです。

より良い相手を求め、逃し続ける「成婚チャンス」

そんなある日、高身長でとても気の合う奥田友也さん(仮名・38歳)と巡り合い交際に発展しました。当時は友也さんも入会したてだったのでお見合いをする機会も多く、紗綾さんの他にも交際中の方がいらっしゃいました。

「交際中の人がいるにも関わらず、他の人とも交際をするの?」と思われるかもしれませんが、筆者の結婚相談所では複数の人との交際を禁止しているわけではありません。時間的な問題もあるので、同じ時期に複数の方と交際をして、最終的に結婚する相手を決めるケースもあります。

紗綾さんと友也さんは交際こそするものの、結婚の話には進展せずにいました。そうこうしているうちにお互いに「もっといい人がいるかも」という理由で別れてしまいました。

紗綾さんは、その後も様々な男性に会っていましたが、なかなか結論が出ません。友也さんもまた複数の女性と交際をしましたが、結局仕事が忙しくなって、婚活をいったんストップすることになったのです。

偶然の再会がもたらした縁

それから1年たって、紗綾さんから相談がありました。実は入会した頃にお付き合いまで進んだ友也さんに偶然再会したそうなのです。

あるお店で買い物をした後でドアを開けたら、目の前に友也さんがいたそうです。2人は1年前に別れてはいますが、気まずい雰囲気もなく、せっかく再会したのだからとお茶をして、お互いの近況を報告しあったとのこと。そして交際していた頃とは違い、なんだかとても楽しい時間を過ごせたこともあり、「これって運命の出会いかも」と紗綾さんは思ったそうです。

お茶をしている時に、紗綾さんはお見合いを続けているけれど、まだ結婚には至らないことを友也さんに伝えました。

「条件のよい人には会っているけれど、だからといって結婚したいとは思えないから、なかなか難しいわね」

そうすると「なるほどね。だから、僕にしたらよかったのに」と友也さん。

「本当だよね。私どうして断ったんだろう? とても気が合ったのに。でも婚活を始めたばかりだったから、まだ覚悟ができなかったんだと思う」と正直に話したそうです。その後、友也さんから「もう一度お付き合いをしないか?」と言われ、交際が再スタートしました。

紗綾さんと友也さんのようなケースは珍しいと思われがちですが、偶然再会をするチャンスは意外と多いものです。それはお互いに忘れることがない存在だったことも関係しているのでしょう。実際、紗綾さんも友也さんも別れた後でもお互いを思い出すことがあったそうです。

●結婚相談所を退会済みの人との復縁。その際気を付けるべきこととは? 後編【知らないと「違約金」を請求される可能性も…結婚相談所の「復縁」にまつわるルールとは】で、結婚相談所のルールと、別の復縁カップルの事例を紹介します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

佐竹 悦子/株式会社インフィニ青山予備校代表、婚活カウンセラー

素敵な方とのご縁をつなぐ結婚相談所インフィニ青山結婚予備校を運営し、成婚率№1・顧客満足度№1を獲得。24年以上、婚活最前線で3万人とカウンセリングを行い成婚に導く。 著書に『佐竹悦子先生の「結婚力」養成講座』、メディア実績に『ノンストップ!』『The Japan Times』『週間ダイヤモンド』などがある。


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