返済迫り鬼電、自宅にピザを大量ニセ注文…ヤミ金融グループ9人、出資法違反の容疑で逮捕 沖縄拠点、海外から指示 債務は4億円以上 「匿名・流動型犯罪グループ」とみて捜査

沖縄県警が家宅捜索で押収したヤミ金融グループの携帯電話やパソコン=14日午前、沖縄市の沖縄署

 沖縄県警沖縄署は14日午前、違法な高金利で現金を貸し付けたとして、県内外を移動しながら活動するヤミ金融グループメンバーの20~50代の男9人を出資法違反(高金利)の疑いで逮捕した。昨年8月に同金融グループのアジトを家宅捜索し、携帯電話67台やパソコン6台を押収。解析して詳しく調べていた。県警が特定しているだけで全国に600人以上の債務者がおり、債務は約4200件、計4億円以上。指示役は海外から指示を送っていたとみられ、県警は警察庁などと情報共有して逮捕に向けて調整している。沖縄署長を長とする130人態勢の合同捜査本部を設置し、実態解明を目指す。

 県警によると、グループは法的上限を超える違法な金利で現金を貸し付けていた疑いがある。債務者の返済が滞ると執拗に電話をかけ、「強盗して返済しろ」と迫るなどしていた。

 返済できない債務者には、別の債務者の返済金の「出し子」などとして活動させ、「アルバイト料」を返済に当てさせるなどしていた。

 グループの手口は交流サイト(SNS)上で「お金を貸します」などと契約者を募り、個人情報や家族、職場の情報などを入力させるもの。返済できなくなると職場や家族に電話をかけたり、自宅周辺に督促のビラを張ったりしていた。債務者を名乗って宅配ピザを大量に注文したり、自動で電話をかけ続けるアプリを使って執拗に電話をかけ続ける「鬼電(おにでん)」もしていた。このグループへの返済に窮した債務者が犯罪行為に及び、摘発されたこともあった。

 返済は基本的に非対面で、口座に振り込ませるなどしていた。メンバーらはお互いの素性を知らず、偽名で呼び合っていたという。このヤミ金融グループは警察庁が全国の警察に摘発強化を指示している「匿名・流動型犯罪グループ」(通称トクリュウ)で、県内では初めての摘発。背後に暴力団組織が関与している可能性も視野に調べている。

 昨年8月には北中城村のアジトに捜査1課特殊犯捜査班(SIT)が閃光弾を使って突入し、家宅捜索していた。

沖縄県警が家宅捜索で押収したヤミ金融グループの携帯電話やパソコン=14日午前、沖縄市の沖縄署

© 株式会社沖縄タイムス社