栃木銀行が東京の林業ベンチャーと協業 森林循環推進へ 放置林などの情報提供

栃木銀行

 栃木銀行(黒本淳之介(くろもとじゅんのすけ)頭取)は13日、林業ベンチャーのGREEN FORESTERS(グリーンフォレスターズ、東京都千代田区、中井照大郎(なかいしょうたろう)代表取締役CEO=最高経営責任者)と「森林分野における協業に関する覚書」を締結した。栃銀が放置林などの情報を提供し、森林の保全や活用につなげる。

 両者によると、民間林業事業者と地域金融機関の協業は全国でも珍しい。

 本県の人工林の約7割が利用期を迎える中、人手不足などで林業従事者が減少し、放置林の増加などが懸念される。那須塩原市などを拠点に森林の造林・植林を展開するグリーンフォレスターズは昨年8月、伐採事業などのForest One(フォレストワン、足利市五十部町、岡田淳(おかだあつし)社長)と「一般社団法人とちぎ百年の森をつくる会(とち森会)」を設立。県内森林の伐採と再造林を推進している。

 栃銀は取引先に林業事業者が多く、森林の循環推進により事業継続を支援しようと、協業によるサポートを決めた。とち森会のパートナー会員となり、森林の管理に困っている所有者や放置林などの情報を同会に提供。同会が森林の伐採や造林、管理を受託する。

 同会は、二酸化炭素などの削減量や吸収量を国が認証し、売買できる「J-クレジット制度」で、企業へクレジットを販売。栃銀はクレジット売買の仲介も視野に入れる。

 栃銀は「持続可能な林業を金融機関としてサポートしていく」、中井CEOは「地域全体で森づくりについて議論していきたい」としている。

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