「義理チョコ」Z世代には過去の話 「面倒」「買いたくない」渡した経験ゼロ

2月14日はバレンタインデー。日本では女性から男性にチョコレートを贈る、恋人同士のイベントとして定着した。さらに日本独自の「文化」として生まれたのが、「義理チョコ」だ。

調べると、その「起源」は1980年代前半。友人や日頃世話になっている職場の先輩や上司の男性に、女性がチョコを贈るものとして定着した。だが、2010年代半ば以降、義理チョコを廃止しようとの声が世間で高まった。コロナ禍を挟んで2024年の今、職場で義理チョコを用意する「風習」は消滅している!?

「半強制的で、賃金外の義務...違和感」

記者が社会人になったのは、7~8年前だ。当時を思い返すと、義理チョコを上司や同期の男性に配っていた。

一方で2015年2月4日付の日本経済新聞に、こんな見出しの記事が出ていた。

「社内に『義理チョコ抑制令』」

サイバーエージェント・藤田晋社長のブログ記事だ。全社メールで、義理チョコをやめようと社員に伝えた背景をつづっている。

さらに2018年2月1日、「日本は、義理チョコをやめよう」と呼びかける新聞広告が日本経済新聞に掲載された。広告主は、高級チョコレートブランドの「ゴディバ」だ。当時の報道をみると、このメッセージには賛否の意見が寄せられたという。ただ、義理チョコの風習に対する風当たりが強まっていたのは明らかだ。

その後、コロナ禍で在宅勤務が定着したり、感染防止のため大勢が集まって食事やイベントを楽しんだりする機会が激減した。こうなると、世間の風潮と共に義理チョコ文化が廃れ、以降に社会に出た若者は、義理チョコを強制されていない可能性は高い。

J-CASTトレンドは、20代前半から半ばの「Z世代」女子5人に、義理チョコ文化について取材した。

「今までの所属先で、上司や同僚のために『義理チョコ』を(学生時代・アルバイト先含む)を渡したことはありますか」

この質問に、全員の回答は共通して「無い」だ。では、かつて一般的だった義理チョコ文化を、どう思っているのか。Z世代女子からは、なかなか厳しい意見が...。

「正直、面倒くさい。普段お世話になっているからというのは分かるが、2月14日に限った日に、(渡すものが)お菓子である必要があるのかわからない」
「義理チョコが半強制的で、賃金外の義務が発生することに対して違和感を覚える」
「日頃からお世話になっているから、全員一括で集めて誰かがやるならまだいいが、自分で何人かにわざわざ買いたくない」
「お菓子という物でつるような、必要以上の気遣いはいらないと思う」

半面、「お菓子を作るのが趣味で好きだから、お世話になっている人から感想を聞けるので、いい文化だ」という意見も出た。

意外と楽しんでいた様子も

「義理チョコ文化全盛期」だった40代以上の女性にも、話を聞いた。誰に、どんなシーンでチョコを渡していたのだろう。

「昭和58年頃は、仲のいい男子全員に友チョコを渡していた。そうするのが当たり前だったから」(50代)
「社会人になってからの義理チョコは、日頃からお世話になっている人に向けての感謝チョコ。上司のイニシャルが入ったチョコレートを笑いのために渡したことがあるが、不評だった」(50代)
「女性が自分一人しかいない職場だったので、未婚の時は全員に配っていた。結婚してからは配っていない」(40代)
「会社全員で、お金を集めて購入し配っていた。普段会話しない上司と話せる機会が増え、お祭りごとの楽しさがあった」(50代)
「どんなものをあげたらいいか悩んで買いに行くのが楽しかった」(40代)
「なんでもない時に贈り物をすると、誤解を招く可能性もあるから、悪くないと思う」(50代)

という意見が得られた。これらのコメントを見る限りは、チョコを用意する本人もそれなりに楽しんでいた様子がうかがえる。

一方で、負担の大きさを嘆く人も。

「お金に余裕がある時はいいけど、金欠の時はきつかった。コロナウイルスが訪れてから義理チョコ文化も、自然消滅した」(40代)
「業務時間内に受け渡しが発生し、渡す方も受け取る方も余計なお金が発生するから、数年前に人事から義理チョコ禁止が発表された」(50代)

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